NHK番組による景気下支えに期待する「四国」

『四国』(27.8)の景気DIは前月比0.5ポイント増、外需急減の影響が都市圏に比べて小さく、6カ月連続で全国10地域中の最高となった。また、各県が経済対策として公共工事執行を積極的に前倒しした結果、『建設』(28.4)が同2.6ポイント増で全国10地域中トップとなった。西日本建設業保証発表の四国の公共工事動向の保証取り扱い実績は、2009年年度上半期は前年同期比17.6%増で全国の伸び率12.0%を超えている。


しかし、政権交代にともない今後の公共工事減少を懸念する声が増えるなど、公共工事主導による景気の先行きについては引き続き不透明感が漂っている。また、民需も民間設備投資・個人消費低迷の影響から足元の状況については依然明るい話題に乏しく、厳しい消費動向を反映した『小売』(23.0)は、前月比で大幅に悪化し、全国10地域中で最低となっている。


一方、明るい材料もある。徳島を舞台にしたNHK連続テレビ小説「ウェルかめ」(放送期間、2009年9月28~2010年3月27日の半年間)、愛媛の「坂の上の雲」(同2009年11月29日から3年間)、高知の「龍馬伝」(同2010年1月から1年間)と、四国が舞台となるNHKの番組があいついで放送されることだ。


日銀試算による上記番組の四国経済への経済波及効果は、観光客や宿泊客、土産品の売り上げなどの直接効果と、土産品の原材料生産の増加や観光産業従事者の所得増に伴って新たに生じる消費額により、400億円を超える。


各県も放送コンテンツとの相乗効果を生み出すべく観光客集客のためのイベントにも注力しているが、各県個別の企画でつながりは薄い。


一方、民間では、四国の地銀4行(阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行、四国銀行)が観光振興と四国全体の活性化を応援するために、2007年10月から2年間の期間限定で開始した文化施設対象のカードラリー「ミュージアム88カードラリーin四国」を、上記の放送による観光客の増加などを見込み、2年間の延長を決定するなど、県の枠を超えた取り組みを試みている。
 

この四国の知名度向上の好機に、「大河ドラマを軸とした観光イベントに期待」(広告代理店)と観光客増加で景気下支えの効果を期待する声も多い。『四国』全体の景況感改善の期待が集まっているなか、一過性のもの、また各県単独の観光イベントに終わるのではなく、四国全県での官民一体となった取組みが重要となっている。

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