経済を冷え込ませる暖冬予想
気象庁が10月22日に発表した3カ月予報では、12~2月の平均気温が「高い」確率は北日本で40%、東日本・西日本で50%、沖縄・奄美は60%と発表された。また、9月に発表された寒候期予報でも同様の割合となっている。現在、エルニーニョ現象が発生しており冬まで持続するとみられることが主な要因であり、今冬は暖冬となる見込みである。
11月1日には東京、横浜など、各地で夏日(最高気温25度以上)が観測されるなど、現時点でも例年を大きく上回る気温となっている。
昨冬も記録的な暖冬となり、雪祭りの雪像が溶けたり、スキー場では雪不足により滑走コースが限られてしまったり、12月になっても営業を開始できない所も散見された。今冬も暖冬となることで、冬季観光需要を見込む地域はさらに厳しさを強いられることとなる。
暖冬の特徴として、全国的に乾燥すること、日本海側では少雪、太平洋側では多雨の恐れがあることなどが挙げられ、山火事や雪崩、大雨による水害など自然災害の発生原因となる。少雪により春先の水不足も懸念される。
また、各産業にとっても、暖冬による影響は少なくない。冬季需要を見込む燃料や被服関連にとっては売り上げを減少させる要因となり、農業にとっては作物の早期成熟により価格安に陥る懸念が高まる。また、前述したように氷雪を資源とした観光地でも、資源難より冬季観光需要を大きく減退させよう。そのうえ、人びとの財布のひもは堅く締められており、なかなか緩めてくれないのが現状。冬のボーナス商戦も厳しい戦いを強いられるだろう。
しかし、暖冬は悪いことばかりではない。寒さが和らぐと言うことは、人びとが外出する機会の増大につながるとも考えられる。街に人が多く出れば商品や外食の需要も増すだろう。是非とも販売機会の拡大につなげてもらいたい。
地球温暖化は進んでおり、毎年暖冬で苦しんでいる訳にはいかない。エルニーニョ現象で懐も暖めてもらいたいものである。