たばこ税は大幅引き上げを

2010年01月08日

政府が来年度から、たばこ税を1本当たり5円程度引き上げる方向で調整に入った。健康への悪影響を配慮する厚生労働省が求めていた1本あたり10円とする大幅増税は見送られる見込みである。欧米諸国に比較して値段が安く、喫煙率の高さに繋がっていると批判されている日本のたばこであるが今回の増税でも、1箱(20本)100円程度の値上がりにとどまり、代表的な銘柄(300円)で1箱400円程度になる見通しである。


今回の増税論議では、温室効果ガス25%削減宣言のように、今後の課題は多いものの、しがらみの無い民主党らしい夢のある思い切った増税に期待していた。自分自身や家族の健康、喫煙環境の悪化で、大幅な増税を機にきっぱりと禁煙しようと考えていた人も多かったのではないだろうか。(筆者もその一人)


このような中途半端な値上げではせっかく禁煙しようと思い立った心が折れてしまう人も多いだろう。景気悪化で税収が細っている状況下、2兆円程度の税収が見込めるたばこ税を温存したい考えは理解できるが、もういい加減に喫煙者を生かさず殺さず的な小幅な増税はやめ、国としてたばこは悪との方針をはっきり大幅増税で示すべきではないか。


大手製薬会社ファイザー社の喫煙者へのアンケート調査によると、「一箱1,000円を超える価格でないと禁煙しない」、また、「価格に関係なく禁煙しない」とする人の合計は喫煙者の2割を超えている。これらの絶対に禁煙しないというある意味信念を持った筋金入りの喫煙者がいるのであるから、欧米並以上の思い切った価格に引き上げてもそれほどの税収減にはならないのではないだろうか。

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