花粉症対策で景気刺激を

2010年02月03日

環境省は今春のスギ・ヒノキ科の花粉総飛散量が、昨春と比較して、全国ほとんどの地域で少なくなるとの予測を発表した。毎年、鼻みず・鼻づまりや目のかゆみなどで憂鬱な生活を強いられている花粉症の方にとっては朗報と言えるだろう。


筆者は幸いなことに花粉症を発症していないが、家族や同僚のなかには症状が重い方も多く、かつ、近年、発症者が増加している感じを受ける。花粉症はマスクや薬などの関連グッズの需要を発生させる一方で、集中力の欠如による生産性の低下や、引きこもりによるレジャーや外出機会の減少など、経済に大きくマイナスの影響も与えている。


いくつかの自治体では中長期的な花粉症対策として、スギやヒノキの人工林を、持続的に木材生産を行う生産型森林と、奥山などの保全型森林とに区分し、それぞれに応じた花粉発生源対策を推進することで、花粉の量を削減するなどの対策を推進しているが、効果が出るのは少なくとも5~10年はかかり、2月初旬から花粉が飛散しはじめる、まさに"今そこにある危機"に直面している花粉症の方にはまったく気の遠くなる話だろう。


最近ではレーザー治療など高い効果が期待できる治療法が注目されているが、高価な設備が必要であることから、一部の医院でしか治療が受けられないと聞かれる。


推定で約2,000万人といわれる花粉症患者の方が、レーザーなどの最先端の治療を受け、身も心もすっきりすることができれば、各職場での生産性が上昇するほか、晴れやかな気持が財布のヒモを緩ませ、買い物やレジャーの機会も増え、景気回復に相応の効果が期待できると思う。政府は景気刺激策として、国民病となった花粉症治療の体制整備・援助を行うことを検討してみてはどうだろうか。

このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。