祝日法改正を日本の活力向上に

2010年03月03日

政府は祝日法の改正へ向けた動きを進めている。これは、消費機会の向上とそれにともなう雇用の創出が主な目的となっており、今国会で改正案が提出される見込みだ。


検討課題には、大型連休の分散化やハッピーマンデーの見直しなどがあるが、特に今回注目されるのは大型連休の分散化である。現在5月と9月にある大型連休を地域別に期間をスライドして設定することで、これまで需要が一時期に集中していた状況を緩和し、消費面からも供給面からも機会の増大を図ろうというものだ。


これに対して懸念されるのは、企業活動に与える混乱である。また、各地域のイベントでは需要が想定以上に弱まるだけでなく、これまでは大混雑で注目を集めたり、観覧のための競争率が高かったことで希少性や人気を保持していたものが、いずれは価値の低下につながっていく恐れもある。異なる地域に居住する者同士の休日計画にも影響を及ぼすなど、このあたりをどう調整するかが今後の大きな課題と言える。


今回の祝日法改正案は、現時点ではデメリットも少なくなさそうだが、ワーク・ライフ・バランスなど生活や働き方の意識改革、地域振興策の拡充という面からみても、試行錯誤する意味は大きい。
人々の生活の仕組みを設計していくことは、直接的な経済対策とともに、政府の重要な役割である。今後は改正案に対して十分な議論を重ねて、課題を解決し、日本の活力につながるものとして欲しい。

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