日独仏3国連合の実現に期待する

2010年04月05日

カルロス・ゴーン氏が率いる日産・ルノー連合が、ダイムラー社と包括的な提携に向けて交渉に入ったことが明らかになった。世界の自動車業界は、クライスラー、GMの破綻に続いて、フォルクスワーゲン(VW)とスズキの提携と再編の動きが加速しており、まさに戦国時代の様相を呈してきた。


日産・ルノー・ダイムラー連合が実現すれば、前述のVW・スズキ連合、トヨタ自動車を加えた3グループが世界の他のグループから頭ひとつ飛び抜けた勢力となる。しかし、近年、品質を高めることでアメリカで販売台数を伸ばしている韓国の現代自動車や、インドのタタ・モーターズなど新興国メーカーの台頭もあるほか、国内でも三菱自動車やホンダの動向が注目されており、今後もさらなる再編の動きが続くと予想される。


今回提携交渉に入った3社だが、ダイムラーは大型車の開発とディーゼル技術、ルノーは小型車の開発技術、日産は燃料電池をはじめとする環境技術に秀でており、提携が実現されれば高い効果が期待できそうだ。


車好きの筆者としては、将来、この提携がうまく軌道に乗った後に開発されるであろう、3社のエッセンスが取り入れられた車に大きな期待を抱いている。日本車の信頼性、フランス車が持つ特有の雰囲気、ドイツ車の高い走行性能を併せ持ち、さらにそれぞれが持つ環境技術も盛り込まれた「いいとこ取りの車」を想像すると、是非とも早く運転してみたいと思う。


ダイムラー社はクライスラーとの経営統合失敗の例が示すように、強気の交渉姿勢で臨んでくるとみられ、今後の提携交渉は難航することが予想される。しかし、ブラジル生まれのフランス育ちで5カ国語を流暢に話すグローバルな視点を持ち、経営危機に陥った日産を立て直した経営者としての実力もあるカルロス・ゴーン氏の交渉手腕により何とか提携を実現して欲しい。

このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。