仕事と家庭、両立支援の充実を

2010年04月05日

子どもを産んでも働きたいと考えている女性は景気低迷などの影響も加わり増えている。共働き世帯が増加するなかで、仕事と家庭の両立への支援が必要だ。


両立への支援の一つとして、事業所内保育所がある。事業所内保育所とは企業や病院などが従業員の子どもを対象として、事業所内または隣接地に設置する保育所のことだ。一般の保育所では対応しにくい深夜や休日などの勤務に応じた保育にも対応している施設もある。利用者からみれば、就業時間に合わせた預け入れや、近くに預けられることの安心感、送り迎えの時間の削減などのメリットがあり、企業にとって優秀な人材の確保や働きやすい企業としてのPRにもなる。また、地域にとっては待機児童の削減にも繋がる。


事業所内保育所の増加が求められており、助成金などの制度もあるが、設立や運営などのコストは小さいものではない。また、保育施設を必要としない従業員の不公平感などの問題もある。こども未来財団の調べによると経費削減の一環として閉鎖される事業所が多く、減少していた事業所内保育所が2009年に3766施設となり、比較可能な1997年(3861施設)以降で初めて増加した。


事業所内保育所を今後も増加させるためには、助成金の弾力化やさらなる充実、設立時のサポートの強化など、支援体制の充実により企業負担を減らすことが不可欠である。また、同じ地域の複数企業で連携して行うのも一つの手だ。複数企業と契約を結びその会社の社員が利用できる保育施設サービスも始まっている。そして、従業員の不公平感の解消には、社会全体で子育てを応援するという意識改革が必要だ。


子どもを育てるのは両親の役目という意識が強く、社会全体で育てるという意識が希薄になっていると感じる。少子化になって困るのは国であり地域であり、企業であり、国民全員だ。PR活動、啓蒙活動などにより世論を盛り上げることや、制度の拡充など国や地域、企業の取り組みが大切である。少子化に歯止めを掛けるためにも、家庭と仕事を両立させられる社会の早急な構築が求められている。

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