虐待から子供を守るために

2010年05月10日

子供が親から虐待を受け、死亡する事件が後を絶たない。
何の抵抗もできない子供に対して、殴る蹴るの暴行を加える・たばこの火を押しつける・食事を与えず餓死させる。その虐待の内容は人間として到底考えられない行為である。親に愛され大事に育てられる子供がいる一方で、日常的に虐待を受け、全身あざだらけとなりながらも、誰にも助けを求めることもできず、絶望のなかで死に至った子供達の気持ちを考えると激しい憤りを感じる。


厚生労働省の調査によると、児童相談所における児童虐待相談の対応件数は年々増加の一途を辿っており、2008年度の対応件数は前年度比約5%増の42,664件となっている。厚生労働省では、2004年の児童福祉法の改正により、虐待を受けた児童などに対する市町村の体制強化を固めるため、関係機関が連携を図り児童虐待等への対応を行う「要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)」の設置を進めているが、残念ながら児童虐待の件数に歯止めは掛かっていない。この数字には表れない児童相談所が未把握の潜在した虐待の件数も数万件にのぼるであろう。


「通報があり何度か訪問したが親に会えなかった。」、「親が反省しているようなのでしばらく様子を見ることにした。」など、児童相談所が虐待の兆候や事実を掴んでいたのにもかかわらず、結果的に放置され最悪の事態に至る悲しいケースも多い。せめて、このようなケースでは児童相談所がもっと警察と連携して強制的な立ち入りや捜査、保護するような体制が取れないのだろうか。


また、虐待が発覚しにくい未就学児童については、その親に対して毎月1回程度、子供とともに医療機関に訪問させ、子供の育成状態の確認や健康診断を受診させることを義務化してはどうか。この義務を果たさない家庭には、何らかの問題が発生している可能性が高いと考えられ、早めの対応を取ることが出来るようになる。


子供は親を選ぶことはできない。しかし、親がなくとも子は育つことができる。「子供は国家が育てるべき」、「命を守りたい」と演説した鳩山首相の理想とも合致すると思うが、非人間的な虐待をするような親からは子供を強制的に取り上げ、国の保護のもとで育てるべきである。

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