休暇分散化には仕事の平準化が課題
今年のゴールデンウィーク(4月28~5月5日、以下GW)も高速道路は10キロ以上の渋滞回数が408回(高速道路各社発表)で昨年比6回増、過去6年で最高の渋滞回数となった。
政府は、渋滞の緩和を目的に、今年2月に高速道路の新上限料金制度の適用により、現在の乗用車の土日祝日上限1,000円を毎日上限2,000円とすることで渋滞緩和を目指す案だ。6月から実施予定で発表された同案も、現状は政府内のごたごたにより開始時期はいまだみえない状況にある。
また、政府は混雑緩和による観光需要拡大や観光地での雇用安定化を目指すために、GWなどに集中している休暇分散化も検討している。祝日法の改正をともなうために導入はまだ先となるが、現在の案は春と秋の2回、全国5地域ごとに日程をずらして5連休を創設するという地区別分散である。
ただ、地区別に日程をずらすだけで、混雑緩和による観光需要拡大や観光地での雇用安定化が図れるのかには疑問が残る。地区別分散により、家族全員が休暇をとれたとしても、家族の大黒柱が勤める企業の業務がたて込めば、たとえ休日となったとしても、家で仕事を抱え込んだり、休暇明けの業務のことが気になり精神的にもリラックスはできないはずだ。
業務過多に影響を与えているのは、企業の決算月に偏りがあることも問題なのではないだろうか。期末は、売り上げ確保のために多忙で、決算を過ぎても約2カ月間は通常業務以外に決算作業に追われることになる。
東証の決算短信集計では2009年1月~12月の決算月別の構成比(金融・保険業、新規上場会社、変則決算会社は、集計から除外)は、3月決算が75.1%でトップ、以下12月(7.8%)、2月(5.5%)、9月(2.7%)と続く。当然、3月決算が集中するために、その子会社や関連会社、取引先にまで影響を与える。
決算月を平準化すれば、決算期前後の慌ただしさは軽減されるはずである。単純に地区別の休暇だけではなく、休暇分散化には多角的に仕事の平準化を検討することが、必要なのではないだろうか。