鳩山首相が辞意を表明、政治不信極まる

2010年06月03日

2010年6月2日、鳩山首相が辞意を表明した。景気対策の迷走や政治資金問題、普天間基地の移設問題などで内閣支持率は急落しており、参院選への影響を考慮した面もあろうが、「国民の生活が第一」として発足した政権をあろうことか途中で放りだしてしまった。


自民党政権で小泉首相後、3代続けて1年で倒れた政権のあとを引き継いだ新政権までもが、1年足らずで退陣となったわけだが、鳩山政権は昨年9月、多くの期待を背負っての船出であっただけに、国民の落胆は大きいであろう。前回衆院選の民主党マニフェストを改めて見直すと、すべてが虚構に映ってしまう。
政治不信は増幅するばかりで、今後、政治に無関心というよりも、政治に背を向ける人々が増加するのではないかと危惧する。


国民生活の基盤となるはずの政治がその役割を果たしていない現状を、早急に変えなければならない。そのためには内閣総辞職では不充分である。鳩山首相が辞意を表明した以上、多くの有権者は、衆院解散によって改めて民意を問い直す必要があると感じているのではないか。内閣総辞職では、後任に誰が指名されようとも、政治不信の払拭はもはや不可能である。


鳩山政権の崩壊は、この数年で定着してきたマニフェスト選挙を崩壊させたとも言える。この夏の選挙で、有権者は何を判断基準に投票をすればよいのか。
この期に至っては、マニフェストやネット選挙に踊らされることなく、立候補者を自分の目でみて、その言葉や表情から感じたものを、各人が信じて判断していくほかないのではないかと思う。その有権者1人ひとりの積み重ねは、必ずや国政に活かされるはずである。

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