目立つ学校IT化の遅れ
社会では、メールでの業務連絡がごく普通で紙での配布は廃れつつある。紙で配布しようものなら資源・保存場所・履歴管理・検索の手間を指摘される時代だが、社会の動きに比べて、小・中学校ではIT化の遅れは目に余る。
自身の子供たちも公立中学校に通っているが、配布される伝達事項は、定期配布のクラス便り、学年通信、学校便り、PTA通信、このほか不定期に配布される保護者通知、集金連絡、行事連絡など、月に10枚は下らない紙が配布されている。作成する先生、持って帰らないといけない生徒、目を通し綴らなければならない保護者、3者ともに大変だ。
連絡事項だけではない。IT化の遅れは、定期テストの管理など学習面の進捗把握の妨げにもなっている。定期テストでは範囲内の問題の正答が返却されるだけで、継続してどこに自分の弱点があるのかの判断を把握できない。結局は塾や模擬テストのきめ細やかな分析に頼るほかない。学習面だけでなく生活面の出欠表の管理、これらを総括した成績表の管理も一部手書きであることも無駄だ。
多くの学校では、いまだに紙による伝達方法が多くを支配していること。このことで、先生、生徒、家庭ともに合理性に欠けることが主流となっている。
また、携帯電話の活用では親への緊急連絡網レベルにとどまり、基本的に生徒の携帯の所持が禁止されている場合が多いなか、2010年4月に須磨学園中学・高校(神戸市須磨区)が使用を義務づける携帯電話を導入して話題になった。ウェブサイトの利用時間や閲覧に厳しい規制を設けることで、学校と生徒との関係を密にすることを目的としている。生徒個別の積極的な指導・関与が可能となり、情報教育に取り組めるようになった。
IT化の進展は、学校裏サイトの誹謗中傷という負の部分が取り上げられがちだが、IT化による正の部分がはるかに大きいだろう。生徒1人1人にMyページを作成し、出席状況から、学校からの伝達事項、成績管理があってしかるべきだ。
未成年は友人関係、学業、社会に多くの不安を持っている。そんな多感な時期に、悩みを他の生徒の目を気にすることなく手軽に相談できるのが、日常生活で慣れ親しんでいるパソコンや携帯電話なのではないだろうか。