2010年の流行語大賞と「今年の漢字」

2010年12月03日

12月1日に毎年恒例のユーキャン流行語大賞が発表され、「ゲゲゲの~」が年間大賞に決まった。貧しくも温もりにあふれた昭和の時代への懐かしさを人々に湧き起こさせているというのが受賞理由だが、トップ10には「無縁社会」もランクインしており、同時に現在の厳しい世相を表しているとも言える。


国内景気は低迷が長期化しており、いまだにトンネルの出口が見えない。就活生などの若者も明るい希望を持ちにくい年の瀬を迎えているが、なぜ、こうも閉塞感に覆われた時代に陥ってしまったのか......。ふと考えながら思い出されたのが、昨年の年間大賞に輝いた「政権交代」である。その受賞者は鳩山前首相であり、最近では政界のご意見番よろしく、活発な言動を繰り返している。そのコメントが虚しく響くのは、昨年の「今年の漢字」が日米での政権交代を象徴する「新」であったこととも無関係ではあるまい。


日米新政権とも旧政権の負の遺産を抱えて、世界景気も不透明ななかでの船出ではあったが、この足かけ2年の評価はいずれも内閣支持率の急落という結果に表れている。特に、菅内閣の支持率は危機的水準で、求心力の低下も著しい。2010年の「今年の漢字」はこのあたりがキーワードになるかもしれない。


政治・経済の低迷、停滞を表す「低」や「停」、または閉塞感を表す「閉」か。中国やロシア、北朝鮮の攻撃的な姿勢による「攻」に対して、日本の内政外交の迷走、混迷を表す「迷」もあるだろう。また、政策の変更を表す「変」(2008年の「今年の漢字」)や「転」。口蹄疫の発生や政界で相次いだ失言の「口」、政治に対する信頼も失われたことで「失」などもありうるが、どれも暗い背景ばかりが浮かんで息苦しさが漂う。


いっそのこと、最近、強くたくましい女性が目立っている「女」はどうだろう。草食男子が話題となる一方で肉食女子が増え、「ゲゲゲの女房」や流行語大賞のトップ10にもランクインした「AKB48」や「女子会」、ランク外ながら「山ガール」、「2位じゃダメなんですか」(蓮舫氏)などもある。
12月10日に清水寺で披露される「今年の漢字」は、ぜひとも明るい未来を予感させるものであって欲しい。

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