国勢調査の世帯動向が示す日本の統計課題
2011年03月03日
2月25日に2010年国勢調査の人口および世帯数の速報が公表された。それによると、2010年10月1日時点の人口は1億2,805万6,026人で、2005年と比べて28万8,032人増加した。増減率は0.2%増で過去最低であった。また、世帯数は5,195万1,513世帯で4.8%増加した。世帯規模(一世帯当たりの人員)は2.46人となり、2005年の2.58人から0.12人減少していた。1995年に3人を下回ってからも低下傾向が続いている。
現時点では人口と世帯の総数が公表されているだけであるが、世帯規模の低下は単独世帯の増加、特に高齢世帯の増加が背景にあると考えられる。そのようななかでは、看護者や介護者の重要性が一段と増してくることは必然であろう。そのため、日・インドネシア経済連携協定(2008年7月1日発効)や日・フィリピン経済連携協定(2008年12月11日発効)により、看護師や介護福祉士候補者を受け入れているのである。
しかし、いずれも日本で仕事を続けるためには日本の国家資格が必要となり、漢字や専門用語の壁などもあり試験合格者は極めて少ない。両者とも自国での資格と経験を有し、日本では、看護師、介護福祉士ともに供給不足で高い離職率が問題となっているにも関わらずである。
さまざまな理由はあるが、日本には国際比較可能な看護・介護・福祉業界に関する統計が必ずしも整備されていないことも理由の1つとして挙げられる。どのような政策を立案・実行するとしても、その基盤となる統計が充分でなければ、本当に有効な政策は出てこない。今後、EPAなどを通じてアジア各国から人材を受け入れていく機会は増えていくだろうが、国の基盤となる、時代にあった統計を早急に整えていかなければならない。
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