高まる企業の海外進出意欲
企業の海外進出意欲が高まっています。帝国データバンク(TDB)が実施した「海外進出意向に関するアンケート調査」(2012年10月22日発表)によると、約4割の企業が海外進出の意向があると回答しました(回答率30.9%、調査期間は2012年8月24日~9月13日。調査対象は5,985社、有効回答企業数は1,851社)。
業種別では、製造業・卸売業に続いて、サービス業の進出意向が3割を超えた点に特徴があります。国内市場の頭打ちを背景に、従来は「内需型」といわれ、海外進出割合が高くなかった業種においても、需要獲得のために海外市場へ挑戦しようとする企業が増えつつあることがうかがえます。
たとえば、美容サロン運営を手がけるA社は、2010年に台湾に現地法人を設立、3店舗を展開し、台湾の富裕層を中心に利用者を獲得することに成功しています。「進出当初は、ヘアメイクという成熟した消費者向けの需要に対する不安があった」といいますが、台湾の親日的な姿勢や日本ブランドへの高い信頼感が奏功し、業績は堅調に拡大しています。また、製造業へ生産スケジュールのパッケージソフトを提供するB社は、2005年に中国現地法人の設立を皮切りに、韓国、マレーシアなどアジア各国へと販売網を広げています。
アジアの中間所得層は、2020年に23.1億人までに急激に拡大する見込みで(「通商白書2011年版」)、こうした例のように、今後もアジア市場を取り込もうとする企業の動きが活発化するのは間違いありません。
TDBでは、今回のアンケート結果の詳細に加え、「海外進出・拡大意向企業リスト363社」、「海外進出企業の事例」を収録したTDB REPORT 118号「特集 海外進出企業 2013」を2012年10月25日に発刊しました。企業の海外進出の現状把握にぜひお役立て下さい。