孤立しがちな男性介護者にエールを!
11月11日は介護の日であった。高齢化が進むなか、誰でも介護される側、する側になる可能性がある。これまで介護の中心は女性が担ってきたが、近年、自宅で家族の介護を主に担っている人の3人に1人が男性だ。高齢化や核家族化が進んだことにより、妻や親を介護する男性介護者は増加傾向にある。
男性介護者は女性介護者と比較して家事労働の経験が少ないことに加え、地域にネットワークが少なく、自分の本音を話せない、他人に弱みを見せられないなどの心理が働き、介護を一人で抱え込み孤立してしまう傾向がある。また、介護と仕事の両立が難しく、退職に追い込まれ、経済的に困窮するケースもある。
今後高齢化がさらに進むなかで、介護を介護者とその家族の問題にとどめず、地域全体で取り組む必要があることは明白だ。自治体による支援や支援団体等が誕生しており、これまで手薄であった男性介護者を支援する動きが広がりを見せ始めている。男性介護者にとって、頼りになるサポートとなり、介護経験者の話を聞いたり、愚痴を言い合ったりする場所ともなっている。男性介護者の方自身と介護を受ける方の幸せのためにも、利用が進んでほしい。
「介護マーク」をご存じだろうか。介護していることが分りにくい認知症の方などに付き添う家族からの「駅のトイレで付き添う際に周囲から冷ややかな目で見られる」、「女性用下着を買う際に困る」などの声から静岡県が考案したものだ。平成23年4月から県内で配布する取り組みが行われ、誤解されてしまう可能性がある場面で介護を行う際に、ネームフォルダにマークを入れて首から提げる形で活用されている。厚生労働省でも各都道府県に資料を送付し、全国統一マークとして普及を図っている。介護している方が周囲から誤解を受けることのないよう、認知度が高まっていくことが望まれる。
女性が行っているイメージが強い介護だが、男性介護者を孤立させず、地域全体で介護をフォローする取り組みの第一歩として、男性でも行っている人が増えていることを知ってもらいたい。それが、誤解による冷たい視線を送ってしまうことを減らし、例えば職場で介護のために早退する方がいた時などに快く送り出せるような、暖かい気持ちを持つ人が増えることにつながるのではないだろうか。介護者に対して、暖かい気持ちを持って接していきたい。