防災の日とBCP
9月1日は、防災の日。関東大震災(1923年)から今年で91年がたった。当然ながら筆者には当時の体験はないが、毎年この時期が近づくと、書店などで震災の文字や関連記事を多く目にする。また近年では、自然災害が多いように感じられ、東日本大震災は言うに及ばず、2014年も2月には大雪による被害や流通網の大混乱、夏場には大型台風や集中豪雨などの悪天候が襲い、甚大な被害を受けた地域もあった。
こうした自然災害はいつ起こるかわからないし、企業活動への影響という側面から考えると、業績に関連してヒト・モノ・カネ・情報へのマイナスの影響は計り知れない。では、このような影響を避けるために、一体どれほどの企業が"万が一への備え"を行っているだろうか。ここで振り返ってみたい。
帝国データバンクでは、東日本大震災が発生した2011年、12年と過去2回に渡り、企業の事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)に関して、全国2万社強の企業へ意識調査を実施した(特別企画「BCP(事業継続計画)についての企業の意識調査」2011年6月、12年3月発表)。それによると、2011年調査では、東日本大震災前までのBCPについて、策定率は約1割、認知度は約4割だったものが、翌2012年の調査では、認知度は6割強と上昇したものの、策定率は1割強と微増にとどまった。
これ以降、同様の意識調査は未実施のため、参考値ではあるが、その後の変化を内閣府の調査結果からみると、2013年度のBCP策定率は、中堅企業では2011年度比4.5ポイント増の25.3%で、策定中(12.0%)を含めると4割弱にのぼり、防災意識という点では高まりがうかがえる(「平成25年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」2014年7月発表)。
他方、調査結果について、BCPの策定を含めた事業継続全体の取り組みをみると、中堅企業では「目標復旧時間の設定」や「経営資源の把握」などの項目が大企業に比べて遅れている。特に、経営体力が比較的弱い中小企業では、こうした把握・認識の有無が、有事の際に「事態の把握」、「初動対応」、「取引先など関係者への状況報告」などの行動の差に表れると、BCPの専門家から聞いたことがある。
加えて、その専門家いわく「BCPは計画したあと、具体的な訓練と見直しこそが大事」と話していたことを思い出した。なにも事業継続に限った話ではないが、策定した計画を具体的な実行レベルまで引き上げるには、やはり定期的な訓練とその見直し、改善を図っていくことは大事なこと。上記調査でもBCPの教育・訓練を実施している企業が全体で7割以上に対して、点検・評価・是正・改善を行っている企業は同4割にとどまっており、今後の課題に挙げられている。
恥ずかしながら、筆者自身も仕事を計画したあと、十分なチェックや評価、改善ができなかったということがあるが、しかし、それではよい方向には進まない。BCPの取り組み同様、しっかり行動できるように、チェックと改善を意識していきたいと思う。