「経営者保証に関するガイドライン」に基づく金融機関の対応状況、公表へ

「経営者保証に関するガイドライン」の適用が開始されてから半年が経過した。同ガイドラインは、企業が金融機関から融資を受ける際に、"経営者保証(経営者個人の連帯保証)なし"での融資を検討するように金融機関に求めたものだ。


現在、日本には中小企業が400万社以上存在(個人事業主を含む)し、その中で金融機関から融資を受けている企業の8割以上が経営者保証を提供していると言われている。経営者保証を金融機関に提供していると、万が一、経営する企業が倒産した場合、経営者個人も破産せざるを得なくなってしまう。"事業の失敗"が"人生の失敗"となり、最悪の場合、自ら死を選ぶ経営者もいるくらいだ。こうした不幸を防ぎ、経営者の再チャレンジを促進するため、同ガイドラインが作成された。そして、6月に金融庁が、"同ガイドラインの活用に関して金融機関等により広く実践されることが望ましい取り組み"を事例集として公表するなど、積極的な活用を促している。


こうしたなか、金融庁は、中小企業金融円滑化法施行後、同法に基づく貸付条件の変更等の状況について総数を公表していたように、「経営者保証に関するガイドライン」を活用した取り組みの総数も公表すべく準備を進めている。円滑化法の時と同じ手法で、金融機関から報告される件数を金融庁で取りまとめる方式である。まずは、2014年4月から9月までの実績が公表されると想定されている。


「数字ありきではない」と金融庁幹部は強調するが、金融機関が金融庁へ数字を報告する以上、金融機関側は数字を意識せざるを得ない。一部金融機関では、すでに優良融資先で経営者保証を外してもリスクが少ない先をピックアップし、報告用の数字を作っていると聞かれる。作られた数字によって飾り付けられる"見せかけのガイドライン"にならないことを祈るばかりだ。

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