ポイントサービスの注目ポイント
先月1日、インターネット通販大手の楽天が共通ポイント「Rポイントカード」のサービスを始めた。ネット上の買い物で貯めたポイントを、ネットだけでなく大丸や松坂屋、サークルKサンクスといった実店舗、およそ1万2000店以上でも利用できるようになった。これまで共通ポイント市場で先行していたカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下のTポイント・ジャパンが運営する「Tポイント」と、三菱商事系のロイヤリティマーケティングが運営する「ポンタ」に、今回9400万人もの会員を抱える楽天が加わったことで関心が高まっている。
ポイントサービスはすでに、航空会社や大手量販店など多くの企業が顧客の囲い込み効果などを狙って導入しており、消費者にもお得なサービスとしてすっかり定着しているが、導入している企業にとってはどうか。現在の日本の会計基準では、発行されたポイントの未使用残高の一定割合は「ポイント引当金」などの名目で企業の負債として計上される。例えば、家電量販店のヤマダ電機は2014年3月期に「ポイント引当金」として176億1100万円を、ビックカメラも2014年8月期に111億8300万円もの金額を計上している。ポイントの失効がない「永久不滅ポイント」を付与しているクレジットカード大手のクレディセゾンは、2014年3月期に773億9000万円を計上しているほか、通信会社でも、2014年3月期にKDDIが763億3800万円を、NTTドコモは1130億100万円を計上するなど、各社の財務的な負担は決して軽くない。しかも、今後導入が進む見込みの国際会計基準(IFRS)では、企業はポイント発行額分について、発行時に売り上げから減額しなければならなくなり、企業にとっては一時的な減収要因となり得る。
今後、国際会計基準が本格導入されるようになれば、体力のない企業は減収によるイメージ悪化を避けるため、ポイント発行を抑制したり制度自体を廃止したりと、抜本的な見直しを迫られるケースもでてくるだろう。無計画なポイント発行は企業の財務上の負担となり、収益力の強化よりも、むしろ悪化に繋がりかねないうえ、消費者にとっても発行企業の経営難やサービス停止によってポイント価値の縮小や消滅といったリスクが増してくる。
来年には消費税が10%に上がると言われていることもあり、消費者の節約志向とともにポイントサービス需要もさらなる高まりが予想される。消費者としては、各社の競争によるサービス向上を期待しつつも、その企業の動向にも十分な注意を払いたい。