セブン-イレブンのドーナツ
11月27日、セブン-イレブン・ジャパンは『SEVEN CAFÉ Donut(セブンカフェ ドーナツ)』の発売を発表した。"セブンカフェ"と銘打っているように、昨年以降話題の絶えないコンビニコーヒーとのシナジー効果を狙った商品展開である。来年8月末までの全国展開を予定しているという、この「セブンカフェ ドーナツ」は、今後どれだけの影響を与えるのだろうか。
実は、この発表以前に影響は出始めている。同社の発表の1週間前、11月20日に一部メディアが報じたことで、この件は世間に広く知られることとなった。ドーナツと言えば、国内では「ミスタードーナツ」が有名だが、「ミスタードーナツ」を展開するダスキン(東証1部)の株価は、報道のあった20日の終値が前日の1,815円から82円下げて1,733円に下落した。これは、今後の影響を先読みした売買が行われたと考えるのが自然だろう。
「ミスタードーナツ」の店舗数は、ダスキン社HPによれば1,350、チェーン全体の年度売上高が国内で約1,000億円に上る。一方のセブン-イレブンは、「セブンカフェ」は今年度6億杯を売り上げる見込みとしており、6億杯とセットで購入されるドーナツの登場を市場が脅威と捉えるのも無理はない。「ミスタードーナツ」には、専門店ならではの高付加価値商品が求められてくるだろう。
また、一部には恩恵を受ける企業もある。「セブンカフェ ドーナツ」の生地や保存用の容器などを製造する業者だ。参考事例を紹介すると、「セブンカフェ」のアイスコーヒー用のカップ入り氷を製造している業者は、1年で売り上げを70億円以上増やしている。元の売り上げが100億円強だったので、驚異的な伸びを見せたと言える。
このほか、同業のコンビニ業界への影響も無視できない。追随する動きを見せる企業もあれば、少し捻ってワッフルなどを、はたまた「ミスタードーナツ」と協業するといった動きもあればいよいよ盛り上がってくるかもしれない。一消費者としては、そうした企業の切磋琢磨の先により良いサービスがあるはずと、ただただ期待して傍観してしまう。
ただし、模倣や盗用では面白くないので、各社とも個性を発揮して頑張って欲しいと一言添えておく。