外国人観光客の消費に期待

百貨店での化粧品売り上げが好調だ。日本百貨店協会の「百貨店売上高」によると、化粧品は7月から11月まで5カ月連続して前年同月比で増加している。消費税率引き上げ前の駆け込み需要により2014年3月に前年同月比で61.2%(店舗数調整後)増加した反動で、4月から6月までは苦戦したが、7月からは持ち直している。百貨店の売上総額は昨年の4月以降ずっとマイナスが続いており、また商品別で見ても多くのカテゴリーがマイナス基調にあるなかで、化粧品の好調は目を見張るものがある。


百貨店での化粧品好調の追い風となったのが、10月の免税品に関する規制緩和である。円安やビザ発給要件の緩和などで外国人旅行客が増えるなか、免税対象が化粧品や食品、飲料、薬品まで拡充されたことも影響し、百貨店の化粧品売上高は10月、11月と増加幅が拡大。百貨店各社は免税品コーナーを広げて、需要の取り込みに力を入れており、髙島屋では来日外国人を対象に購入商品を空港まで届けるサービスを12月からスタート。同社は10月、11月と2カ月連続で免税販売額が前年比2倍超と好調ななか、さらなる売り上げアップを図る構えだ。


日本国内の個人消費は、アベノミクスによる株高や円安により高所得層が一部恩恵を受け高級品を買う動きがあるとの話も聞くが、中間層以下は実質賃金が上がらず、円安に伴う食品や消耗品の物価上昇により財布のひもは固いままだ。企業においても、先月に弊社が発表した特別企画「円安に対する企業の意識調査」では、デメリットの方が大きいとする企業が半数に迫る一方、メリットが大きいとする企業は1割にも満たないという結果だった。円安になれば輸出企業の業績が改善され景気が回復に向かうのではないかという期待があったが、実際に円安が進んでも現状が大きく上向く兆しは見えてこない。しかし、円安効果などで2014年の訪日外国人客数が1,341万人(日本政府観光局発表による推計値)と、過去最高を記録したという事実もある。今こそ日本の文化や商品に触れファンになってもらい、日本でお金を落とし、帰った後も日本製品を買ってもらって、ぜひとも日本国内の消費低迷を補う切り札となることを期待したい。

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