家計支出における電子マネー
9月30日、平成26年全国消費実態調査(総務省)の単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果が公表された。同調査は5年ごとに実施されており、家計の支出状況についての大規模調査となっている。今回公表されたなかでいくつか注目する結果があった。
購入形態別の支出構造では、「現金」が84.9%を占めて最も高いが、「クレジットカード、月賦、掛買い(以下、クレジットカード等)」が13.7%、「電子マネー」が1.4%となっている。5年前と比較すると「現金」が減少する一方、「クレジットカード等」と「電子マネー」はすべての費目で支出額が増加し、支出割合も上昇した。
さらに、「電子マネー」について品目別に支出割合をみると、男女ともにバス代(男性34.2%、女性28.6%)が最も高く、次いで鉄道運賃(男性15.4%、女性18.2%)などとなっている。また、3位以下では、調理パンやおにぎり、魚肉練製品など食料品が並ぶ。
電子マネーは1990年代後半から一般消費者でも利用できるようになったが、現在ではSuicaやPASMO、TOICA、ICOCA(いずれも交通系)、WAONやnanaco(いずれも流通系)、楽天Edy(独立系)などさまざまな種類があり、利用用途も広がりを見せている。
日本銀行が公表している決済動向から電子マネーに関する項目をみると、2014年の決済件数は40億4,000万件(前年比22.6%、7億4,600万件増)、決済金額は4兆140億円(同28.0%、8,785億円増)であった(ただし、交通系については、乗車や乗車券購入に利用されたものは含まれていない)。また、1件当たり決済金額は994円であり、少額の買い物の決済に電子マネーが利用されている状況が浮き彫りとなっている。
単身世帯の購入形態割合でみると8割超が「現金」で決済していることからも、日本ではまだまだ現金を好む人が多いといえる。しかし、そのような中でも、電子マネーは「手軽、お釣りがない、いつでも利用できる」などといった便利さから普及してきたが、その勢いは依然として続いているといえる。利用用途を拡大しながら毎年3割近い増加率を示している電子マネーは、さまざまな新しいビジネス機会を生み出していくことになるのであろう。