18年ぶり、23年ぶり
2015年は、18年ぶり(金融危機前以来)や23年ぶり(バブル崩壊翌年以来)といった見出しが躍るデータが多かった。
日経平均株価は、6月24日に一時2万952円となり1996年12月以来18年半ぶりの高値をつけた。そのほか、4月の完全失業率3.3%は1997年4月の3.2%以来の低水準となった(その後、10月には3.1%となり、1995年7月以来20年ぶりに更新した)。
身近なデータでは、大相撲は1月の初場所から9月場所まで5場所連続で15日間満員御礼だった。これは1990年初場所から1997年春場所まで続いた44場所連続の若貴ブーム以来18年ぶりのことである。特に、景気との連動性が高いともいわれる大相撲の懸賞本数は、今年の初場所で計1,625本と史上最多を更新した。
また、雇用の限界的なデータといえる自殺者数は、2015年1月~10月分が前年比-6.1%であり、このペースでいけば2万5千人を下回る可能性が高い。自殺者は金融危機などのため1998年に3万人台になり、その後は高水準で推移していたが、近年減少傾向にある。今年の自殺者数が2万5千人を下回れば、1997年の2万4391人以来18年ぶりの水準に減少することとなる。
さらに、雇用関連では9月の有効求人倍率は1.24倍と、1992年1月の1.25倍以来23年ぶりの高水準となっているほか、文部科学・厚生労働両省が発表した2015年3月卒業生の高校生就職率は97.5%で、1992年3月卒業生の97.9%以来23年ぶりの高水準である。
また、10月の全国スーパー売上高(既存店ベース)は前年同月比2.8%増と7カ月連続で前年を上回り、26カ月連続の増加となった1990年4月~1992年5月以来23年ぶりである。
このように、2015年は「18年ぶり」「23年ぶり」という数字が多数出てきた。しかし、TDB景気動向調査からは年後半にかけて経済状態が停滞している様子もうかがえる。例えば、自動車向けを中心に内需が低調だったことで、粗鋼生産量は10月まで14カ月連続で減少しており、16カ月連続マイナスだった1991年8月~1992年11月以来23年ぶりの記録である。また、中国では中央と地方を合わせた財政収入は23年ぶりの低い伸びとなるなど新興国の成長鈍化もみられており、日本の国内景気は膠着状態という状況である。
現在30歳台以下の人たちはバブル崩壊以降に社会人になっているため、ほとんどデフレ経済しか知らない世代である。バブル崩壊(1991年)の翌年となる1992年以来という明るいデータが多く出るようになれば、デフレから脱却した経済状況に戻ったという証左になるのではないだろうか。