再構築迫られるアベノミクス

本日公表のTDB景気動向調査で、景気DIは2カ月連続で10地域すべてが悪化した。これは東日本大震災直後の2011年3月~4月以来のことである。年初から海外要因による円高・株安の影響を受けたものの、2014年4月に消費税率を8%に引き上げて以降、国内景気が軟調に推移していたなかでの落ち込みである。


もちろん、アベノミクスによる成果が表れていることも多い。例えば、雇用に関していえば、1月の雇用者数は前年同月より101万人増加しており、正規の職員・従業員数は56万人増、14カ月連続の増加である。失業者数は211万人で68カ月連続減少となっている。非労働力人口も減少していることから、多くの人が労働市場に参入し、職を得ているということである。また、有効求人倍率は1.28で1991年12月(1.31)以来24年1カ月ぶりの高水準となっている。その結果、10~12月期の雇用者報酬は前年同期比で1兆3,320億円増加していた。


しかしながら、国内景気は天候不順が起これば景気も悪化するという関係が続いている。また、現在の景気は海外経済が下押し要因となっているが、日本の経済構造からみると、外需は全体の2割弱であり、8割以上は内需で構成されているのである。これらのことを鑑みると、問題はいまの日本経済が外部からのショックによる影響を受けやすく、力強さに欠けていることにあるのではないだろうか。


いまこそアベノミクスは原点に立ち戻り、金融緩和だけでなく、投資を喚起する積極的な財政政策とともに、成長戦略を再構築し経済の再浮上に向けて全精力を傾けなければならない。そのために必要ならば、消費税率10%への引き上げを先延ばしすることも選択肢のひとつであろう。その先に、名目国内総生産(GDP)600兆円や1億総活躍社会、介護離職ゼロというアベノミクス第二弾を達成する未来が見えてくるはずである。

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