なぜPDCAを回せないのか
マネジメントの基本とされる「PDCA」は、「計画を立て(Plan)、実行し(Do)、振り返り(Check)、次はもっと良いやり方をする(Action)」というシンプル極まりない手法だ。しかしこれを「きっちり行えている」と胸を張れる企業・職場は少ない気がする。
シンプルなものほど奥が深く、また「凡事徹底」が一番難しいのかもしれない。それにしても、戦後まもなく紹介された手法が70年近く経っても真に根付かないのは何故なのだろう。
仕事の現場でよく言われるのは、「P、Dはできても、日々の業務に追われてC、Aまで行うことが難しい」ということだ。だが、専門家に言わせると問題は別のところにあるらしい。
彼らが指摘するのは、「多くの企業・職場において、そもそもP(計画)が適切に行われていない」という点だ。ちなみに、「一般に計画と呼ばれていて、実は計画ではないもの」には、次のようなものがあるという。
- トップダウンによる数値目標の、単なる日割り・人数割り
- 数値目標があるのみで、それを達成するための行動計画(いつ、誰が、何を、どのように実行するのか)がない
- 行動計画があっても、それが絞り込まれていない。あるいは実行可能なステップに細分化されていない。したがって、その実施状況や結果を評価することもできない
- 行動計画が日常業務の中に落とし込まれておらず、別個に実施されるものとして乖離している
「計画もどき」がまかり通るのは、それでも業務が回っていくからだ。しかし、A(改善)によるスパイラルアップがなければ、人も組織も現状を維持することしかできず、取り巻く環境が変化すればやがて競争力を失っていくだろう。
そう考えると、「目標」を「計画」化することは、見落とされがちだがきわめて重要なスキルといえる。もうすぐ新年度。まずは自分の「計画もどき」を見直したい。
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