被災地支援、私たちにできること
熊本県、大分県を中心に発生した平成28年熊本地震では、多大な被害が生じ、現在も多くの方が自らの家で暮らすことのできない状況が続いている。
国の政策にも期待したいが、熊本や大分以外に住んでいる人が今できることは何があるだろうか。少しでも被災された方々の役に立ちたいという気持ちは大切だが、一方で、自粛ムードが広がるのは望ましくない。亡くなられた方や怪我をされた方が多数いることを考えるとつらい気持ちになるが、それでも自粛に走ることなく、支援する方法を考える必要がある。
東日本大震災が発生した当時、TDB景気動向調査において、政府への提案・要望や応援メッセージなどを自由に記入していただいた。被災地所在企業からは「行き過ぎた自粛をしないでほしい」(建設)など、被災地以外では通常の経済活動を続けて欲しいという意見があった。多くのレジャー施設や花見での自粛、慶事の先延ばしなどが行われたが、逆に、そのような行動は被災地の経済活動に悪影響を及ぼし、被災地以外でも売り上げの低迷が長引けば支援する力が弱まってしまう。また、国や自治体が行う施策の枠を狭めてしまうという指摘も多かった。
花見や慶事ならば一杯だけでも被災地のお酒を飲むことで支援する、レジャーならば義援金や支援金の呼びかけを同時に行うなど、小さなことでも目に見える形になっていれば、気持ちを消費に向かわせる助けにもなる。
また、ふるさと納税を行うことも一つの方法であろう。ふるさと納税は2008年から始まった制度であるが、2015年度からは寄付の上限額が2倍に引き上げられている。
東日本大震災の復興でも、ふるさと納税は非常に活用された。被災地では、当初は各種物品が不足するが、時間の経過とともに資金不足が深刻になってくることが過去の経験からの教訓でもある。寄付者の居住する自治体にとっては想定外の出費(還付金)を強いられることもあるが、今回の熊本地震に対して、被災地にも被災地を支援したい人びとにも役立つであろう。
震災被害への影響を少しでも抑えるためには、被災していない企業や個人の日常の行動が、被災地への大きな支援になるのではないだろうか。