日本の技術貿易
2016年12月16日に総務省が発表した「平成28年科学技術研究調査」によると、2015年度の技術貿易収支額(輸出-輸入)は、3兆3,472億円(前年度比6.4%増)と6年連続で増加し、過去最高だった。輸出入額では、受取額(技術輸出)は3兆9,498億円(前年度比7.9%増)で過去最高、支払額(技術輸入)は6,026億円(同17.5%増)で2年ぶりの増加となった。
技術貿易とは、諸外国との間における特許権、ノウハウの提供や技術指導等、技術の提供または受け入れなど、技術に関連する収支額のことである。技術貿易収支は、科学技術に関する研究活動の成果でもあることから、企業の技術力・産業競争力を把握する指標の1つになっている。
日本の技術貿易収支は1993年度以降23年連続して黒字が続いているが、リーマン・ショック後に大きく減少した2009年度の1兆4,804億円と比較すると、2.26倍に拡大している。国際的には、日本は米国の469億ドルに次いで2番目に黒字額が多く(日本:277億ドル)、技術立国としてのポジションが表れているといえよう。
技術貿易額を相手国別にみると、受取額、支払額ともに米国が最も多く、受取額は1兆5,979億円で全体の40.5%を占める。支払額は4,249億円で同70.5%となっている。このように、日本の技術は主に北米を中心とした先進国が主要取引国であることが分かる。また、受取額ではアジアが36.9%を占めており、技術輸出は北米とアジアで8割を超える。
他方で、海外の親会社・子会社との取引が多いことも特徴的である。とりわけ受取額では74.7%を占め、技術輸出の大半は親会社・子会社間での取引となっている(支払額は22.6%)。
また、産業別では、自動車を含む「輸送用機械器具製造業」が、技術輸出2兆3,277億円となっており、技術輸出全体の6割近くを占めている。
しかしながら、これらの結果をみると、日本の技術貿易は特定の地域、産業に偏っていると見ることができる。そのため、技術輸出における産業別構成として「医薬品製造業」(構成比12.1%)や「情報通信機械器具製造業」(8.8%)など、自動車に次ぐ分野への広がりを持たせることが課題であるといえよう。