東京五輪に向けて変わる街並み
7月20日、街角でよく見かける案内用図記号(ピクトグラム)が変更・追加された。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、ピクトグラムに関する日本工業規格(JIS)が改正されたためである。五輪開催を控え、我々の日常生活も少しずつ変化していくことを改めて感じる。
今回は国際規格(ISO)に整合する形で、駐車場や手荷物受取所、救護所など7種類が変更となり、2年間の移行期間を経てすべて切り替えられる。さらに、新たな記号として無線LANやコンビニエンスストア、海外発行カード対応ATMなど15種類および「ヘルプマーク」が追加された。
とりわけ、温泉を示す記号については、長年親しまれてきた従来のデザインの存続を求める温泉旅館などの意見を踏まえて、湯けむりを描いた現在のものと、入浴中の人を描いたISOに準拠した新たなデザインのどちらかを選択できる方法で決着した。
政府は、2020年までに訪日外国人旅行者数を4000万人、リピーター数を2400万人とする目標を掲げており(「観光立国推進基本計画」2017年3月28日閣議決定)、東京五輪を見据えて、訪日客に分かりやすいデザインへの移行が促されることとなる。また、首相を議長とする「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」では、2030年までに訪日外国人旅行者数を6000万人とする目標が決定されている(「明日の日本を支える観光ビジョン」2016年3月30日)。
目標人数達成に向けては、中国やフィリピン、ベトナム、インド、ロシアの5カ国のビザ発給条件緩和を加速させるほか、大型国際会議の誘致や観光の人材育成なども進め、訪日外国人の旅行消費額を2016年の約3兆円から、2020年8兆円、2030年15兆円への拡大を目指す。
すでに訪日外国人旅行客によるインバウンド消費は、国内の小売業界やサービス業界で欠かすことのできない存在となっている。2020年の東京五輪開催まであと3年を切った。街中を散策し、周りを見回してみると、ピクトグラムのように少しずつだが着実に変化していると感じることができよう。