東京オリンピックと高速道路
1964年8月、首都高速道路が空港西出入口(東京都大田区)まで開通し、東京都心と羽田空港が高速道路で結ばれた。東京オリンピック開催の、わずか2カ月前のことである。ビルの合間を縫うように建設された高速道路は、驚異的な経済成長を続けた日本の象徴の1つと言えよう。
あれから53年を経た今も、整備中の区間は数多く存在する。首都圏でも、中央環状線(首都高速道路中央環状線)・外環道(東京外かく環状道路)・圏央道(首都圏中央連絡自動車道)から成る「3環状」の整備が進められている。今年2月には圏央道の茨城県区間が完成、関東近郊を大回りするルートが形成された。
「3環状」の整備目的は、渋滞の回避・解消と物流ネットワークの強化、地域経済の活性化にある。国土交通省関東地方整備局によると、圏央道が完成した場合、八王子JCT(東京都八王子市)~横浜港間の所要時間は、当初の約124分(国道16号経由)から約53分(圏央道経由)に短縮されるという。また、圏央道・日の出IC(東京都西多摩郡)の整備により、IC周辺に物流・アクセス面での利便性を求めた工業団地や大型商業施設が進出、その結果、約4,300人の雇用創出につながった。
「3環状」のうち、中央環状線は2015年に全線開通し、圏央道は神奈川県・千葉県内の一部区間の整備を残すのみである。外環道は、関越自動車道・中央自動車道・東名高速道路の各起点付近を結ぶ区間の建設が長らく凍結されていたものの、今年2月に掘削工事が開始された。
関越~東名の各起点を直接結ぶルートは、現状では一般道の環状8号線のみ。そのため、平日・休日問わず車が集中し、渋滞が日常茶飯事となっている。外環道(関越~東名)は、各起点を自動車専用の地下道で結び、現状で約60分かかる同区間の所要時間は、約12分に短縮されるそうだ。
当初、外環道(関越~東名)の開通目標は「2020年の東京オリンピック開催まで」とされていたが、用地確保の難航などで、具体的な開通時期は未定となっている。東京オリンピック開催まで、あと3年。日本の高速道路整備は、まだ道半ばである。