睡眠の効用
野球のメジャーリーグで二刀流に注目が集まっている。2017年オフに、ポスティングシステムで北海道日本ハムファイターズからロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムに移籍した、大谷翔平選手である。
2018年シーズンの開幕から打者および投手として、まさに八面六臂の活躍をみせている。こうしたなか、テレビ中継で大いに話題となったのが、バックネット下に掲出された看板広告である。日本語で書かれたこの看板は、米国で試合中から何が書かれているのかとTwitterなどで広がり、地元テレビで同社について詳しく説明されるなど、注目度が一気に高まった。
看板の広告主は寝具類卸の西川産業(通称・東京西川)で、大谷選手とは「睡眠コンディショニングサポート契約」を締結し、快適な睡眠のアドバイスなどを行っているという。
睡眠は人間行動の1次活動にあたり、質の良い睡眠が日中のパフォーマンスを向上させることが知られている。最近は「睡眠負債」という言葉も認知されており、睡眠不足は"マイクロスリープ(瞬間的居眠り)"など心身に深刻な影響を与える。また、「睡眠負債」は肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病や、アルツハイマー型認知症にかかりやすくなるなど、さまざまな悪影響を及ぼす。
総務省「社会生活基本調査」によると、2016年の平均睡眠時間は7時間37分で、40年前(8時間5分)から28分短くなっている(日本に居住する15歳以上)。また、睡眠時間は曜日によって違いがみられ、平日は7時間27分、土曜日は7時間54分、日曜日は8時間12分となっており、平日は日曜日より45分も短い。
睡眠の時間と質については、さまざまな考え方があるほか、個人差も大きいものの、快適な睡眠がより高いパフォーマンスをもたらすことは、スポーツ選手だけでなく、すべての人にかかわることである。また、先述の睡眠負債は、週末に多く睡眠時間を取っても解消できるものではないという。そのため、自分に最適な日々の安定した生活サイクルを見つけることが最も重要なのかもしれない。
メジャーリーグで活躍する大谷選手を応援しつつ目に入った看板広告から、最適な睡眠を通じた自身のパフォーマンス向上を図らなければならないと、改めて考えが広がった次第である。