災害から立ち上がる底力

7月の国内景気は、集中豪雨と猛暑という2つの気象状況に大きな影響を受けた。とりわけ集中豪雨は平成最大の被害をもたらした。個人的にも、広島県呉市にある私の実家は無事だったが、親戚の家が土砂被害にあうなど、気が気でない集中豪雨であった。


TDB景気動向調査によると、全国の景気DIが前月比0.5ポイント増と4カ月ぶりに改善したなか、平成30年7月豪雨で非常に大きな被害を受けた広島県の景気DIは同2.4ポイント減少し、47都道府県で最大の悪化幅となった。また、今回の豪雨により災害救助法が適用された地域の景気DIを市区郡別にみると、多くの地域で景況感が悪化していた。


この影響は被災地域に所在する企業のみならず、被災地に支店のある大手企業や取引先などを含め、全国的に影響が及んだ。こうしたなか、全国の企業から義援金や水の提供といったさまざまな支援が行われているほか、被災地企業への積極的な製品の納入により貢献しているという声もあり、復旧・復興に向けて全国から支援の広がりがみられている。また、被災した企業からは、一日も早い道路や鉄道の復旧を望む声が聞かれたほか、被災地以外の企業や個人には過度な自粛を避け、通常通りの経済活動を求める意見もみられる。


大きな自然災害が発生したとき、心情的に活動を自粛したくなるのが人情と言えるかもしれない。2011年の東日本大震災においても、自粛ムードの高まりで東北経済に悪影響を及ぼすこととなった。こうしたことが続くと、復興支援をしたいと考えている被災地以外の企業でも被災地の支援に向けた力を弱めてしまう結果となりかねない。


災害からの復旧・復興には、行政による施策が欠かせない。一方で、このような状況のなかでも、被災地域の企業は傷ついた事業の再起のために前を向いて進んでいる。官民ともにニーズにマッチした支援を行うと同時に支援の輪を拡げ、また個人でもできることを行い、災害から立ち上がる企業を支えていきたい。

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