日本人は睡眠不足
日本人は睡眠時間が短いようだ。標準的な睡眠時間は6時間から8時間程度といわれているが、仕事や家事、学業などに追われ充分な睡眠時間を確保出来ていない日本人は多い。
2015年に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、20歳以上の男女に「ここ1ヶ月間、あなたの1日の睡眠時間はどのくらいでしたか」という質問をしたところ、39.5%が6時間未満(うち5時間未満は8.4%)と回答。つまり日本人の約4割が標準的な睡眠時間を確保できていないということである。2017年にはユーキャン新語・流行語大賞に毎日の睡眠不足が借金のように蓄積していく「睡眠負債」という言葉がトップテン入りするなど、近年「睡眠」への関心が高まっている。
日本人が睡眠を軽視しがちなのは、かつて長時間労働が日本人の美徳とされていたことが少なからず影響しているだろう。1989年のユーキャン新語・流行語大賞で銅賞に選ばれた「24時間タタカエマスカ」は、やればやるほど成果が上がった時代に休みなく働くモーレツぶりを表したような言葉だ。
しかしながら、そうした働き方は今日において「ご法度」とされている。2018年6月に成立した働き方改革関連法において、長時間労働を是正するために残業時間の規制が原則月45時間、年360時間、繁忙期など特別な事情がある場合でも上限は単月で100時間、年720時間未満と定められた。大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月から適用される予定である。
こうした働き方改革が動きだしたのをきっかけに、企業も従業員の定時退社の奨励や残業時間短縮などへの取り組みを進めるであろう。睡眠時間を削って働く生活からワーク・ライフ・バランスを重視した生活へのシフトにより、多くの日本人の睡眠不足が解消されることを切に願いたい。