自分を守るためにサービスの理解を
インターネット(以下、ネット)は、もはや電気・水道・ガスと同じように生活に欠かせないものになっているが、契約に関するトラブルは後を絶たないようだ。
個人的にも、引っ越しする際にネット回線について、事業者から電話営業があった。契約することが決まっている(しなければならない)ように、矢継ぎ早に説明がされ、時々理解を促してくれるものの、淡々と話を進める相手に、うなずくしかなかった。自身の理解が追いつかなかったため、「書面にて詳細内容を送ってほしい」とお願いをすると、「ウチは電話のみでの案内で、申し込みをもらってから書面を送ります」との回答だった。
このような「契約内容を理解していないままに申し込んでしまった」などのトラブルは、独立行政法人 国民生活センターによると、2015年に光回線サービスの卸売りが始まってから、毎年1万件を超える相談がPIO-NET(パイオネット、国民生活センターと全国の消費生活センターをオンラインネットワークで結んだデータベースのこと)に寄せられているという。なかでも60歳以上の方の割合が増加傾向となっている。
電話勧誘による契約の場合、その解除は、電気通信保護法の消費者保護ルールによって、契約締結書面受領後から8日以内であれば、事業者の合意がなくとも違約金の支払いはなしで解約できる(サービス利用分の料金、工事費などは請求される場合がある)。ただ、押し売りや訪問販売などで適用されるクーリングオフの対象ではないことには注意が必要となる。
消費者の選択肢が増加し、どのサービスが自分に最も適しているかの判断は、ますます困難となってきていると考える。
先日、情報誌のインタビュー取材でお会いした社長には、「必要になる前に、必要となるであろう制度を作っておくことが大切なことである」と教わった。この教えを今回の私事の事象に置き換えて考えると、きちんとサービスを享受するにあたってサービスへの理解を深めること、背景にある制度を知っておくことが、「いざ」というときに備えになると考えられ、よい教訓となった。