自動車と携帯電話の協同
2017年の携帯電話使用等に係る交通事故件数は1,885件発生した。前年より減少したものの、事故件数は近年増加傾向にある。また、携帯電話(スマホ)の"ながら運転"は、道路交通法違反となり、最大で3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられる。
発達するスマホの魅力ゆえ、未遂の利用者も数多く存在するのではと思うところである。
10年ほど自動車の運転をしていない私には無縁の世界であるが、近い将来はどうであろうか。
2018年10月4日、トヨタ自動車とソフトバンクが2018年度内に共同出資会社「MONET Technologies」を立ち上げ、2020年代半ばまでに自動運転技術を組み合わせたMaaS(Mobility as a Service、移動のサービス化)ビジネスの提供を目指すことが発表された。
MaaSとは、ICT(情報通信技術)を活用して運営主体などにかかわらず、すべての交通手段によるモビリティを1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな移動の概念である。
これまで複数の交通手段を乗り継いで目的地に向かう際には、移動ルートの検索は可能であっても予約や支払いなどは各事業者に対して行うことが常であった。
MaaSという概念が進展すると、スマホなどから一括で「ルート検索」→「配車や座席予約」→「運賃などの支払い」を行うことが可能となる。
トヨタ自動車の持つ「車両に関するデータ」とソフトバンクの持つ「人流に関するデータ」の連携、それに自動運転やAI(人工知能)といった新たな技術が成熟すれば、近い将来スマホ1つで全国どこへでも気軽に行ける日が来るのだろうと想像できる。
私も帰省する際には、自宅から「バスに乗って」→「地下鉄に乗って」→「新幹線に乗って」→「在来線に乗って」→「タクシーに乗って」、やっとの思いで実家に帰っている。支払や予約などは事業者別に発生するので、その都度、面倒だなと感じるところである。
また、自宅から在来線までは検索エンジンで検索できるのだが、最後のタクシーは運次第。田舎の駅にはタクシーがいないことも間々ある。
自分の体とスマホがあれば、公共交通と自動運転車が勝手に目的地まで運んでくれる世界が目前まで迫っているのであれば、是が非でもすぐに実現してほしいと願ってしまう。
スマホ1つで「自宅から自動運転車で新幹線の駅まで」「新幹線を降りたら自動運転車で実家まで」というようなストレスフリーな交通手段が選択できる日が早く訪れてほしい。
なお、MaaSビジネスと完全な自動運転車が導入されると、"ながら運転"という概念自体もなくなってしまうのかなと密かに思うところである。