海外景気の減速を示す数字たち

中国の景気減速を示す統計数値が出ている。


日本国内の統計は、2018年10月の中国からの工作機械受注額(日本工作機械工業会)が前年同月比36.5%減となり、8カ月連続で減少。2018年11月の中国に対する輸出額(財務省「貿易統計」、速報値)は同0.4%増となっているが、同年1月の同30.8%増をピークにその後は増加幅の縮小傾向が続く。他方、中国の統計では2018年11月の新車販売台数(中国汽車工業協会)が同13.9%減となり、2018年の年間販売台数は1990年以来28年ぶりに前年実績を割り込む可能性が高まっている。また2018年11月の中国製造業PMI(購買担当者景気指数、中国国家統計局)は前月比0.2ポイント減少し、好不調の判断の分かれ目と言われる50ちょうどまで下がった。


中国から米国へ輸出する際にかかる関税の一部を現行の10%から25%へ引き上げる件について、2019年3月初めまで猶予することが米中で合意されている。そうしたなかで、2018年12月に米国の要請を受けたカナダが中国の通信機器大手の幹部を逮捕し、その後中国側がカナダ人らを拘束する事態が発生。報復措置との見方もあり、両国間の緊張が高まるなか、猶予期間を経て関税の引き上げが実施されれば、中国景気のさらなる減速が懸念される。


他の国をみると、米債券市場では将来の景気後退の予兆と一部で言われている長短金利(2年債と5年債)の逆転が2018年12月におよそ11年ぶりに起きた。欧州では、仏マクロン政権による燃料税引き上げに対し抗議デモ運動が広がり、増税延期を余儀なくされたほか、英EU離脱の期限が2019年3月に迫り、メイ首相の不信任案は否決されるも、離脱条件などで合意がない無秩序離脱の可能性を抱え、予断を許さない状態が続く。さらに2018年10月にIMF(国際通貨基金)が世界経済見通しで世界のGDP成長率予測をおよそ2年ぶりに下方修正。そしてTDB景気動向調査では、国内の景気動向について2018年10月に「足踏み状態続く」から「弱含み」へ変更。また、内閣府が発表した2018年9月の景気動向指数で基調判断を24カ月ぶりに「改善」から「足踏み」へ変え、10月も据え置いている。海外の国々で景気減速や後退の兆しとみられる数値が出ており、日本の国内景気も弱含んでいる。


今年の干支はイノシシ。2019年は改元や消費税率の引き上げを控え、企業にとって待ったなしの対応が迫られる。自らを含め、来年2020年に万が一にでも「袋のネズミ」といった窮地に陥らぬよう、そして今年1年力強く飛躍できるよう、冷静さを持ちつつ目標に向かって猪突猛進したい。

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