「年賀状」と「これから」
子供のころは元日の楽しみがたくさんあった。母の作ったおせち料理やお年玉、着物を着せてもらえたりと。朝早く目が覚めて、家族が起きてくるのを待っていたことを思い出す。最近ではおせち料理も、当然お年玉もなく、楽しみと言えば箱根駅伝だろうか。昔は、箱根駅伝を食い入るように見ている両親に「まだ終わらないの?」とよく聞いたものだ。しかし、自分も歳を重ねてみると、テレビの前から離れずに応援している。年齢とともに様々な事に対する見方が変わることをこんな場面でも実感する。
昔から変わらない小さな楽しみもある。年賀状だ。今は届く数も減ってきたが、郵便受けに年賀状があるとやはり嬉しい。
周知の通り、年賀状の発行枚数は減少傾向にある。お年玉年賀はがきは2004年用の44億6,000万枚をピークに、2019年用の当初発行枚数は24億21万2,000枚まで減少し、ピーク時の半数近くとなった。ちなみに現在のようなくじ付き年賀はがきの販売が始まったのは戦後の混乱期の1950年用からで、第1回目の賞品はミシン、純毛洋服地など。2014年用に初めて「現金1万円」が登場し、2019年用の1等は「現金30万円また同額相当のプレミアム賞品」となり、現金の金額は2018年用の10万円から3倍に大幅アップしている。
年賀状についてネットで検索していると、書かない理由が複数のサイトであがっていた。面倒、お金がかかる、メールやSNSで送る、などがその理由で、これは想定内だったが、「年賀状じまい」の際の文例がいくつもあがっており、「平成とともに年賀状じまい」という記事は想定外だった。
家族と同居していたころは、パソコンのできる私が、強制的に家族分の年賀状を印刷する担当であった。時間がないなかでの印刷は本当に骨が折れた。だが、いざ「年賀状じまい」の言葉を目にすると、家族の視線を背中に感じながら年賀状を印刷したツライ思い出も、懐かしく思い出される。
何かに触れて、ふと昔のことを思い出すことが多くなってきたが、元号が変わり、時代が変化していくなかで、そんな機会は増えていくのかもしれない。
ただ昔を懐かしんで終わるのではなく、「これから!」の気持ちで進む2019年にしたい。