今こそ「不正転売」撲滅のとき

2018年末、「特定興行入場券の不正転売を禁止」すること、および「興行入場券の適切な流通を確保」することを目的とした、チケット不正転売防止法[1]が公布された。私はこの法律を待ちに待っていた。念願と表現してもいい。


スポーツ観戦や人気アーティストのライブ鑑賞を趣味としている方にとっては、一度はチケットの確保で苦労したことがあるのではないだろうか。私自身、欲しいチケットを手に入れるために長時間並んだり何度もサイトにアクセスしたりと数多くの苦戦を経験したことがある。残念ながら入手できなかったとき、ふとオークションサイトに目を向けると、価格が定価の何倍にも跳ね上がったチケットが出品されているのをいくつも見る。毎回のように、非常にやるせない気持ちになっていた。


しかし、この度前述した法律が制定され、不正転売者に対して「一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金」(第9条)という罰則規定が定められた。これは不正転売した人にも、不正転売を目的としてチケットを譲り受けた人にも適用される。こうした大きな抑止力ができたことで、不正転売が撲滅されることを切に願っている。


一方で、すべての転売を禁止しているわけではない。例えば本人や同行者が急用や体調不良などの不測の事態によって行けなくなり、チケットが余ってしまうことがある。このような「正当事由のある転売」に対して、様々な対応が始まっている。


2018年10月から「LINEチケット」を展開するLINE TICKET株式会社は、前述のような理由による適正な運用を可能にする「公式リセール(二次販売)」を始めた。同サービスは100%電子チケットを導入しているため、円滑な流通が可能になるだろう。そのほかにも、横浜DeNAベイスターズでは公式の二次流通マーケットの設置を検討するなど、今後もこうした動きは活発化していくと予想される。この対策によって不正転売ができなくなると、不正転売を目的とした買い占めも防止できる。すると、第一の販売段階から購入できる口数も増加するため、そうした面からも適正な流通の確保が期待できるのではないだろうか。


まだこのようなサービスは始まったばかりだが、本当に大きな一歩だと思う。当法律が施行される6月にかけて活発となるであろう不正転売防止に向けた動きに、期待せずにはいられない。



[1] 正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」。施行は2019年6月14日。

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