注目集まる外国人従業員の「研修中」

最近、飲食店、スーパー、コンビニ、ディスカウントストアなどで、ネームプレートとは別に「研修中」と書かれたプレートを付けた外国人スタッフの方がとても増えたような気がする。個人的にそんな気がするだけなのかもしれないが。研修中の若手社員か留学生の方なのだろうか。「いらっしゃいませ」と元気な声が聞こえてくることもあれば、慣れないレジや情報端末と格闘する姿、日本語での説明にまだ少し自信がなさそうな様子など、印象はさまざまだ。マニュアルに沿って一生懸命に接客をしてもらえていることが伝わってくる際は、なんだか応援したくなる。


改正出入国管理法が2019年4月1日に施行された。厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、2018年10月末現在で、外国人労働者数は約146万人(前年同期比14.2%増)、外国人労働者を雇用する事業所数は21万6,348カ所(同11.2%増)にのぼる。いずれも、前年同期に比べて2ケタを超える伸びを示しており、届出が義務化された2007年以降、過去最高を更新している。法施行にともない、特定産業分野に該当する業種では、新たな在留資格である「特定技能」取得のための技能測定試験が2019年4月にはさっそく実施される予定で、外国人労働者のさらなる受け入れの動きが進む。宿泊分野では、すでに6カ所の試験会場が満席となり、注目度の高さがうかがえるほか、受入見込数が最多6万人(政府試算)の介護分野では、まずフィリピンで試験が実施される。また、介護に次いで受入見込数が多い外食分野(5万3,000人)では、衛生管理、調理、接客に関する試験が国内に加えて今後、海外でも実施されるようだ。


特定産業14分野のうち、現時点で試験が先行して実施されるのは3分野である。技能実習2号の修了による試験免除制度もあるが、その他の分野では、今後、順次確定していくとみられる。高度外国人材や技能実習生、留学生などの受け入れが進んでおり、改正出入国管理法の施行で、外国人労働者数は今後、さらに増加するだろう。


深刻な人手不足が続くなか、該当業種の企業にとっては外国人労働者の雇用は関心が高いと思われるが、受け入れにあたっては体制作りや準備、特に意思疎通が成功のカギになるのではないかだろうか。近所の店舗でも、研修中の外国人スタッフが困ったようなしぐさをみせると、日本人スタッフがさりげなく後方からサポートしていることや、逆に、外国人スタッフが「いまのはどうすればよかったのか」と質問している様子が多々あった。法務省のホームページでは、受け入れ企業の取り組み例が複数掲載されている。就労環境や生活面の整備のほか、日本語の習熟フォローや面談サポートなどで、相互理解を図ることがポイントに挙がっているので、ご覧になってはいかがだろうか。

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