食料品の値上げと消費税率引き上げ
大型連休が終わった。有り難いことに10連休を取ることができたが、小売りやサービスといった消費に関連する業種などを中心に、仕事で忙しかった方も多数おられたと思う。長期の休みを取った人の中には、私のように大型連休と改元のお祝いムードから、いつもよりもお金を使い過ぎ、節約モードへの切り替えを誓った方も、多いのではないだろうか。
しかし一方で、飲食料品の値上げが相次いでいる。コカ・コーラ ボトラーズジャパン(株)は、2019年4月1日出荷分より「コカ・コーラ」「アクエリアス」「爽健美茶」など、清涼飲料ブランドの大容量サイズの希望小売価格(税抜)を、20円ずつ値上げした。消費税率引き上げ時の反映分を除けば、実に1992年以来となる27年ぶりの値上げだという。その他にも、日清食品(株)は「チキンラーメン」「カップヌードル」「日清のどん兵衛」、明星食品(株)は「チャルメラ」「中華三昧」「一平ちゃん」など即席麺の製品価格を、6月1日出荷分より値上げする。
外食業では、2019年2月にスターバックス コーヒージャパン(株)が、ドリップコーヒーなど定番商品を8年ぶりに10円から20円程度引き上げる価格改定を実施。牛乳価格の上昇を受けて、(株)ドトールコーヒーとタリーズコーヒージャパン(株)は、4月にカフェ・ラテなどの価格を改定するなど、大手コーヒーショップチェーンでも値上げが相次いだ。
こうした値上げの要因として、コスト上昇分の転嫁がある。原材料費や人件費の上昇に加え、物流費の高騰が負担となっている。2019年4月のTDB景気動向調査において、運輸・倉庫業界の雇用過不足DI(正社員)が全10業界中で最も高くなっている。同業界の販売単価DIも高水準で推移しており、ドライバー不足の深刻化などが影響し、運送費は高騰が続いている。
さらにもう一つの要因として、2019年10月に控える消費税率の引き上げが考えらえる。商品の価格を据え置いたまま内容量を減らす実質的な値上げに対しても、消費者は敏感に反応し購入を控える傾向がある。消費税率引き上げ以降は個人消費が一時的に大幅に冷え込むと見込まれ、その後しばらくの間は値上げが厳しいため、今しかないと価格改定に踏み切ったと予想される。
価格に敏感な消費者のマインドとコスト負担上昇分の適正な転嫁、双方のバランスを考えながらの舵取りが、今後一層重要となるであろう。