お札と「○○ペイ」

好きか嫌いかと問われれば、多くの人がもちろん好きと即答するであろうお金の話である。現金とキャッシュレスの双方で、新たな動きが加速している。


お札の流通量が過去最高を更新した。日本銀行によると、2019年4月末の日本銀行券(紙幣)の発行高(季節調整値)が前月比で2.9%増加し、110兆7,116億円となった。長期連休中の旅行や買い物などの出費に備えて、現金を普段より多く手元に置く必要があったことなどが要因として考えられる。


お札つながりでいえば、20年ぶりに新紙幣が発行される。財務省は日本銀行券(千円、5千円、1万円の紙幣)および硬貨(500円)について、2024年度上期をメドに一新すると発表。新たな紙幣では、紙面に描かれる人物が変わるのはもちろんのこと、肖像の3D画像が回転するホログラムが、世界で初めて紙幣に採用される。他の変更点は金額が漢数字よりも洋数字が大きく記載され、アルファベットと数字の組合せで記載される「記番号」はこれまでの最大9ケタから10ケタへ増やされる。


一方で、キャッシュレス化の動きも活発で、「○○ペイ」といったスマホを使う決済サービスが注目されている。2019年3月には、LINEが手がける「LINE Pay」とメルカリが手がける「メルペイ」が2019年初夏をメドに連携をはじめると発表したほか、ゆうちょ銀行は5月から「ゆうちょPay」のサービスを開始。デビットカードサービス「J-Debit」を運営する日本電子決済推進機構は、「Bank Pay」を2019年秋より始め、メガバンクや地方銀行など最大1,000以上の金融機関が対応していく予定という。さらに、総務省が推進するQRコード・バーコード決済用の統一規格である「JPQR」について、NTTドコモやみずほ銀行、PayPayなどの決済事業者9社が参画し、8月より福岡など4県全域で実証事業がスタートする。


モバイルSuicaやデビットカードを日常的に使い、個人的にキャッシュレス決済を活用しているつもりでいるが、いまだ「○○ペイ」には手を出せずにいる。正直なところ、Suicaなどでキャッシュレス決済の便利さは十分に享受できているとの思いがある。他方、友人知人が「利用金額の20%を還元するキャンペーン中に、○○ペイで買い物をした」との話を聞くと、興味が惹かれる。時代の流れに乗って一度経験してみるのも大切ではないかと迷うところではあるが、各サービスの統廃合が進んだ後に、使い勝手の良さそうなサービスを見極めてからでも遅くはないとも思う。利用できる店舗数の増加など利便性が一層向上することを期待しつつ、今後の動きから目が離せない。

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