新たな観光列車誕生なるか、富士山に鉄道が誕生するかもしれない?!
夏休みを間近に控え、旅行の計画はいかがだろうか。昨今、日本列島ではさまざま地域で観光列車が運行している。豪華なグルメが堪能できる列車、日本の景勝地を巡る列車など多種多様にあるが、いま日本の最高峰である富士山に鉄道を敷設する計画が沸き上がっている。
2019年5月22日、富士山の麓から5合目までを結ぶ「富士山登山鉄道」構想の有識者勉強会が開催された。山梨県の長崎知事は、実現性を探り2年程度かけて構想をまとめる考えを示した。それにより、山梨県は同年6月に、「富士山登山鉄道」構想の検討費として約4,000万円の予算を計上した。
実は、富士山に鉄道を敷設する構想は、1920年代あたりから浮かんでは消えを繰り返していた。
この「富士山登山鉄道」の過去の検討資料などを鑑みると、富士スバルライン[1]の道路上に鉄道を敷設するプランが、最も有力な計画ではないかと思う。
このプランのメリットとして、以下の3点があげられる。
- 自動車輸送より鉄道輸送の方が環境面への負担が小さいこと
- 鉄道輸送量に定員があるので、夏のピークにおける入山者をコントロールができること
- 冬でも5合目まで到達できるため、富士山の通年観光が可能となること
他方、デメリットとしては、次のようなものがある。
- 富士山が世界遺産および国立公園にあたるため、建設行為に制限がかかる
- 吉田ルート[2]の起点まで、利用者の乗換えなどの負担が増加する
- 万が一の際、緊急車両の通行が妨げられる、制限される
このようなメリット・デメリットを踏まえた上でも、一個人としては、「富士山登山鉄道」は実現してほしいところである。鉄道の車窓から四季折々の富士の景色を眺め5合目まで登ることは、最高の観光資源となろう。また、観光時期の平準化により、富士山近郊で商売を行う人にとっても利点は大きいと考えられる。
既存の資源だけでも十分な観光名所は全国に存在している。しかしながら、観光先進国を目指す日本にとって新たな一歩を踏み出す取組みは、今以上に必要となる。これからも、こうした検討がされている取組みを探ってみたい。
[1] 富士山有料道路の愛称。1964年開通の富士河口湖町から富士山5合目付近に至る有料道路
[2] 富士山の登山ルートのうちの1つ。富士スバルライン5合目を起点とするため、高速バスなどでアクセスが可能
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