何気ない食べ残しは世界全体の問題

私が育った地元の小学校は、給食の食べ残しに対して非常に厳しかった。私自身も給食を残してしまったとき、当時の担任に注意されたことが何回もある。しかし、高学年になる頃だっただろうか、「お米を残すと農家の人が悲しむ」という子ども用の道徳ビデオを見た私は見事に感化され、以来食べ物を残すことは一切なくなった。この習慣は、社会人となった今も継続中だ。


現在、国際社会において、食品ロスの削減は大きな課題となっており、削減に向けて積極的な取り組みが行われている。2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)のターゲットの一つに、2030年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させることが盛り込まれており、日本のみならず世界で取り組むべき課題として挙げられている。


このようななかで、環境省は第四次循環型社会形成推進基本計画において、2030年度までに家庭系食品ロス量を2000年度(433万トン)から半減させる目標を設定した[1]。最新の数値は291万トンと推計されている(2016年度、農林水産省)。着実に減少してはいるものの、道半ばといったところだろう。


具体的な削減の取り組み内容は多岐にわたる。例えば、消費者庁は家計簿のような感覚で食品ロスを記録する冊子を作成し、全国の自治体に配布している。また、「いつ」「何を」「どのくらい」「どのような理由で捨てたか」などを記録・計量することで2割、さらに削減の取り組みを行うことで4割、食品ロスを減らせることがわかっており、今後の普及に繋がりそうだ。また、文部科学省は学校で食育の推進を行い、教材を通じて「食物を大事にし、食物の生産等にかかわる人々への感謝する心を持つ」ことを指導している。その他、食品ロスを防ぐために簡単に食品を貯蔵する方法である「ローリングストック法」の呼びかけ(消費者庁)や、宴会では「最初の30分と最後の10分は自席で料理を楽しんで、食品ロスを減らす」という意味を込めた「3010運動」の啓発(環境省)など、さまざまな対策が行われている。


私としては、食育の充実を推したい。小さい頃から「食べ物に感謝し、大切にする」という習慣を根付かせることができれば、食べられる量だけを注文するなどという意識が働くだろう。某アニメの「お残しは許しまへんでェ!」という有名なセリフはやや強引かもしれないが、小学生時代に厳しく指導してくださった方々のおかげで個人的には食品ロスゼロを達成できている。この問題を目にする度に、当時の担任への感謝を巡らせるこの頃である。



[1] 同計画によると、事業系食品ロスの削減目標は、今後食品リサイクル法の基本方針で設定するとしている。

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