過去最高となった宅配便荷物数と「置き配」

「置き配」というサービスをご存知だろうか。先日、大手通販サイトのAmazonで注文の手続きを進めていたところ、"置き配指定"というボタンがあったので、選択してみた。同サイトによると、置き配とは、宅配物の宛名の人物が在宅か不在かにかかわらず、印鑑などのサイン不要で、指定した場所に配達員が荷物を置いていき、その後に配達の完了を知らせるサービス。荷物を置いてもらう場所は、玄関・宅配ボックス・自転車カゴ・車庫などから利用者が選ぶことができる。届けられたはずなのにその場にない、といったもしもの場合には、販売元のAmazonが商品の再送や返金の対応をする。


置き配に賛否両論あるのは承知しているが、実際に置き配で商品を受け取ってみた感想は、とても便利でまた利用したいと思った。なぜかというと、配達時間を平日夜に自ら指定したにもかかわらず、諸々の事情で受け取ることができず、配達員の方に申し訳ないと思うことが何度かあったからだ。置き配を利用するうえで防犯面を心配する声があがっているが、商品が紛失した場合は補償されるので、一点ものや高額品でなければ問題はないであろう。宛名によって個人情報がさらされるという懸念は、我が家のように表札のある戸建て住宅の場合、住所と名字は簡単に知られてしまうので、さほど気にならない。


国土交通省の発表によると、2018年度の宅配便荷物数は前年度比1.3%増の43億700万個で、4年連続で過去最高を更新した。2008年度の同荷物数が32億1,200万個であったため、10年間でおよそ11億個も増加したことになる。大手ネット通販業者や家電量販店が強化する自社配送は、この統計に含まれないことから、宅配便取扱数の実態はさらに増加していると見込まれる。


宅配便の受取方法をなにもかも「置き配」とするのは現実的でないが、購入者が納得のうえで選択し利用するのであれば、問題はないと思った。利便性向上や配送にかかわる課題の解決を目指し、Amazonは10月1日から1カ月間、岐阜県多治見市で置き配を標準の配送方法とする実証実験を実施している。置き配の利用が普及すれば受取人不在による再配達が減少することから、人手不足が深刻な配達員の負担軽減につながるだろう。


我々消費者が行き届いた手厚いサービスを受ける時代は、終わりを迎えつつあるのかもしれない。日本社会における人口減少や人手不足問題に対処してくために、宅配における置き配など、あらゆるサービスでの多様な選択肢を消費者が受け入れ、活用していくことが必要であろう。

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