デジタル化に潜む落とし穴
昨今、次々とデジタル技術を使った新たな商品やサービス、ビジネスモデルが展開されており、私たちの生活が劇的に変化している。そんな社会のデジタル化の波に乗り遅れないよう先日あるセミナーを受講した。今、世界中のあらゆる分野で注目されているデジタル・トランスフォーメーション(DX)がその話題の中心。DXをはじめとしたデジタル社会到来に関する事例や問題点など、とても興味深い内容であった。私自身、はっと気づかされることが多かったため書き留めておきたい。
現在、様々な場面で多くの企業が、業務の効率化や生産性向上、顧客への新たなビジネスモデルの提供や価値の創出などのため、デジタル化を推進している。
しかし、そのデジタル化が正しく推進されているのか、一旦立ち止まってみることも重要である。例えば、業務内容の機械化などについて進めているが、仕組みの導入に際して社内稟議がハンコという本末転倒な社内プロセスはないだろうか。スピード感を持って業務内容の効率化を目指しているにも関わらず、その前段階でアナログな過程を踏んでいることは多々あると推測される。
また、スーパーや書店などの小売店舗でみられる、商品検索システムの導入。顧客にとってみるとわざわざ店員を呼び商品を探すストレスが軽減され、店舗としても人件費の削減などに成功している。一見、Win-Winに感じるが、顧客側に負担を求めているため(自ら商品検索を行い、自ら陳列棚に足を運ぶ)デジタル技術の導入が付加価値になっていない。
もちろん、商品検索システム自体は便利であるが、自社の社内効率を目指すことに主眼を置き、顧客に対する付加価値の提供がおざなりになっていないだろうか。
こういった少し見落としがちな落とし穴こそ、私たちに新たな気づきを与え、真のデジタル化に近づくと考えられる。
最後に、そうはいっても従来のアナログ式の業務への関わり方も重要だと思う。立ち話やリフレッシュルームでの会議といったFace to Faceのやりとり、メモ書きや手紙といった文章でのやりとりなども業務の円滑化や新たなビジネスモデルの創出には欠かせない。今後も重要なピースとして残っていくであろう。
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