「SDGs」:企業が取り組む意義とは?

今日、SDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みが国内外政府、自治体、民間企業など、さまざまな主体の間で広がっている。

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された17のゴール・169のターゲットから構成される国際目標である。全世界すべての人々に影響する問題を対象としており、行政セクターのみならず民間企業などの積極的な関与も期待されている。しかしSDGsに取り組む意義が分からない、あるいは関与したいもののどこから手をつけば良いのか迷う企業は多いだろう。足元の行政機関のデータをみると、範囲は限られているが、2018年時点での関東11都県に所在する中小企業のSDGs認知度はわずか15.8%だった[1]。また世界レベルでみると、2019年のSDGs達成度ランキング[2]での日本の順位は162カ国中15位と、2018年と横ばい、2017年の11位から低下した。日本はSDGs認知度・達成度を高めるようあらゆる主体が動くべきだろう。


そこで、政府をはじめとする行政セクターの役割としてSDGsに積極的に関与することは必須である。しかし一方で、各企業にとってSDGsに関わることで自社にどんなメリットがあるのだろうか。環境省のSDGs活用ガイド[3]によるとSDGsは企業にとっての「リスクとチャンスに気付くためのツール」とある。具体的なメリットとして、まずは企業の知名度やイメージの向上が挙げられる。それにともない、取引の活性化や投資家から出資を受ける機会が増える可能性に加え、人手不足が深刻ななか、人材確保にもつながると考えられる。またSDGsを通じて社会の課題を認知し、対応することで企業自身の経営リスクの回避につながるとともに、社会にも貢献できる。将来の可能性でいうと、SDGsの取り組みをきっかけに新たな事業パートナーを獲得することでイノベーションやパートナーシップを生むことにまでつながる。さらにいえば、SDGsへの対応が取引条件となる時代が来るかもしれない。


さて、企業はどのようにSDGsに取り組むべきか。たとえば運輸業界においてはハイブリット車の導入により、CO2の排出量を削減し「目標13:気候変動に具体的な対策を」の達成を目指すことが考えられる。また、女性社員のキャリア促進や、事業所内保育所の開設など支援制度を充実し、「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」の達成に向ける取り組みはすべての業界において行うことができる。あるいは、SDGsに新たに取り組むだけでなく、既に行われている自社の活動がSDGsのいずれに該当するかどうかを確認することも大切である。 

企業はSDGs のゴール・ターゲットを確認し、自社の活動に結び付けることでビジネスチャンスを掴み、持続可能な企業を目指す時ではないだろうか。



[1] 経済産業省関東経済産業局 「中小企業の SDGs 認知度・実態等調査」(2018年10月)
[2] The Sustainable Development Solutions Network (SDSN), Sustainable Development Report 2019
[3] 環境省「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」

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