新型コロナウイルス、どうなる!?

2020年、いよいよ東京五輪へのカウントダウンが始まった今、新たな懸念が発生している。新型コロナウイルスの感染による肺炎の発症である。国内でも初めて人から人への二次感染が確認され、中国では感染者が2002年から2003に大流行した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」を上回るなど、その勢いは衰えを見せていない。


SARSは、2002年11月に中国広東省で生じた症例を発端として、30カ国まで拡大。2003年7月のWHO(世界保健機構)による収束宣言まで8カ月を要した。


JNTO(日本政府観光局)によると、SARSが流行した2003年の訪日外客数は521万1,725人で、うち中国からの外客数は44万8,782人であった。TDB景気動向調査によると、景気DIは2003年2月からSARSが収束した2003年7月まで6カ月連続で改善しており、国内でのSARSによる影響は少なかったことが伺える。
しかし、JNTOが2020年1月17日に発表した2019年の訪日外客数(推計)は、3,188万2,100人で、JNTOが統計を取り始めた1964年以降で最多となった。うち中国からは959万4,300人と第1位で、その数は2003年の21倍も増加し劇的に変化している。
また観光庁が発表した2019年10~12月期の訪日外国人消費動向(1次速報)によると、訪日外国人旅行者の消費額は1兆2,106億円と推計され、中国はその32.3%を占める3,907億円と最も大きい額であった。


新型肺炎により、中国からのインバウンド消費が減少する可能性は高く、その影響は広範囲に及ぶと考えられる。新型肺炎が中国の成長率にどれだけ響くのか。後退するが短期的との意見も聞かれるが、中国経済の規模が2003年と比べ圧倒的に大きくなっている今、その動向に世界中が注目しているにちがいない。


加えて国内の各地では記録的暖冬となっている。気象庁によると、2019年12月の日本海側の平均降雪量は、北日本で平年の47%と過去最少となり、今後も同様の傾向が続く見込みとのこと。冬のレジャーや農作物への影響が懸念され、下押し要因が増える形となっている。


特別な年との期待も大きい2020年なだけに、不安要素が重なり、毎日更新される新型肺炎のニュースについ溜息がもれる。経済産業省は新型肺炎に関して中小企業向けの相談窓口を開設したと発表。政府による支援策の紹介や経営の助言を行うという。
政府の対応が功を奏し、一日も早い事態の収束を願うばかりである。

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