新型コロナウイルス感染症による国内景気への影響

国内景気が急速に悪化している。もともと消費税率引き上げによる消費減退や、暖冬の影響などが色濃く残るなかで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるショックが追い打ちをかけた格好である。


とりわけ、新型コロナウイルス感染症の発生源となった中国経済の落ち込みは大きく表れていた。中国国家統計局の発表によると、中国における景況感を表す代表的な指標であるPMI(購買担当者景気指数)は、製造業で1月の50.0から2月の35.7へ、さらに非製造業は54.1から29.6へと落ち込んだ。まさに過去に例のない、大幅な悪化である。

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日本経済においては、中国と直接、輸出入に関わる企業だけでなく、インバウンド需要の落ち込みや外出の手控え、政府による大規模イベントの自粛要請など、川下の消費関連企業から川上の素材関連企業までサプライチェーン全体に影響が及んだ。


帝国データバンクが毎月実施している「TDB景気動向調査」から得られる景気DIをみると、とりわけ「旅館・ホテル」は宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、2002年5月の調査開始以降で最大の悪化幅を記録した。また、旅行客の減少は、旅行業やバス・タクシーなど自動車運送業の景況感を大きく押し下げることとなった。


企業からも「新型コロナウイルスの影響でインバウンド中心に宿泊キャンセルが相次いでいる。中国だけでなく欧米からの宿泊客にも影響が出ている」(旅館)や「新型コロナで港湾施設が休止し、輸出入貨物が激減」(運輸に付帯するサービス)といった声が多く聞かれる。


他方、少数ながら業績にプラスの影響があったという企業もある。例えば、備蓄用の保存食などの食品製造や卸・小売のほか、消費者が店頭から通信販売での購入を増加させた通信販売業界、またこれまで中国に発注されていた電気機械や繊維製品などの国内回帰を受けた製造業などである。医薬品・日用品小売は1割程度の企業でプラスの影響を捉えていた。


帝国データバンクでは、景気動向調査に寄せられるリアルな情報の提供をYouTubeやTwitterなどSNSを通じてさらに強化していく予定である。


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