意識改革が必要な新型コロナ対策
外出自粛を前に、やはり都内のスーパーでは「パニック買い」が発生する形となってしまった。それがニュースで伝えられると、不安に誘発された「パニック買い」がさらに発生するという悪循環が起こっていた。姉が住んでいる地方では、そんな都内の様子が何度もテレビで放送されていたようで、「東京は大丈夫なのか?」「食べ物はあるの?」「お米送ろうか?」と、一人暮らしの妹を心配し、何度も連絡がきていた。
ほんの1カ月前の2月20日、英・ロンドン市長選の候補者が、新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪・パラリンピックが中止された場合には代わりにロンドンで開催できるという考えを示した。この時点では、新型コロナウイルスは中国や日本での出来事と捉えていたのかもしれない。しかし3月20日、英では感染者数が4千人におよび、英政府はレストランやパブ、劇場などに閉鎖を要請。1カ月間で事態は大きく変化したのである。注目したいのは閉鎖要請と同時に、なんとも具体的な政策が早急に打ち出されたことである。休業を余儀なくされる企業に勤める労働者に、1人月額2500ポンド(約32万円)を上限に賃金の8割を支給すると発表。しかも企業規模や営利、非営利を問わず、当面は3カ月間をめどとするも予算枠は設けず、必要なだけ肩代わりするとのことであった。
まさに日本に足りない具体性がみられた。
そのような世界情勢のなか、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授が個人的に立ち上げた新型コロナウイルスに関するサイトが注目を浴びている。そのサイトに関して、NHKの番組内で山中教授がインタビューを受けているのをたまたま拝見した。大変心に残ったので、そのごく一部をここでご紹介させていただきたい。
「桜は必ず来年も帰ってきますから。今は感染が広がって高齢者を中心に亡くなる方が増えると、その方の命は絶対に戻ってきませんので、~中略~。自分の安全、自分の周囲の高齢者の安全、そして社会の安全を、自分で守ろうという意識をもつことが、そういう意識をもつ人がどれだけ増えるかが大切だと思っています」(NHK「ニュースウォッチ9」より 2020年3月27日放送)