新型コロナウイルス後に訪れる新時代への備えを!

先日、東京在住の私と広島にある実家との間でビデオ通話を始めてみた。さらに、実家近くに住む妹家族ともつなぎ、3世帯での同時通話が可能となった。緊急事態宣言の下で外出自粛が要請されているなか、政府が呼びかけた大型連休中の「オンライン帰省」にかこつけて新たな連絡手段を取り入れた格好である。


母親は「まさかうちでテレビ電話(!)ができるようになるとは、長生きはしてみるもんだねぇ」と話すなど、なかなか好評なようだ。ビデオ通話の端末としてはパソコンを使っているが、特に違和感なく楽しんでいるように見える。というのも、母親は、年金の支給開始と同時に初めてパソコンを購入して以来20数年、いまでは立派なパソコンユーザーなのである。


それまで専業主婦として過ごしながら、なぜ還暦を迎えてからコンピュータに触れてみようと考えたのか、その理由は分からない。本人は「面白そうだったから」と言うが、何か新しい一歩を踏み出そうとしたことは確かであろう。


一人の人生においては、還暦というのは大きな分岐点となるのかもしれない。他方、社会全体においては、新型コロナウイルスの発生前後で、これまでとは異なる姿になっていくと考えられる。その意味で、私たちはまさに"いま"重要な分岐点に差し掛かっているのではないだろうか。ここで以前と同じ状態に戻ろうとするのか、あるいは新しい一歩を踏み出そうとするのか、その判断が今後現れてくる社会での立ち位置を大きく変えていくことは間違いない。


これは日本だけでなく、世界においてもメガチェンジの時代に入ることを意味している。今後は、ITを活用した新しい発想の実現に取り組む企業や、テレワークの普及にともなう働き方改革、IoT(モノのインターネット)を用いた社会の管理が一段と進む可能性がある。


こうした変化の流れは、個人においても訪れるであろう。緊急事態宣言が延長され外出自粛が続く今だからこそ、次なる時代に進むための準備をする期間と捉えるべきである。そして、その発想は「面白そう」が原点となる。

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