49日ぶりに緊急事態宣言が解除

2020年5月25日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言が継続していた東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県および北海道について、宣言を解除。これにより、4月7日に7都府県に発出され、同16日に全国に拡大された緊急事態宣言が49日ぶりに全面解除となった。


しかし世界では、1日あたりの新型コロナウイルスの新規感染者数が約10万人を超え最多を更新するなど、累計感染者数は553万人を超えている(厚生労働省HPより、2020年5月27日現在)。とりわけ中南米など新興国での感染拡大が深刻化している。4月初めに100万人であった世界の感染者数は1カ月半余りで5倍以上に膨れ上がっているのが現状である。


そのようななか、2020年5月19日に世界銀行のマルパス総裁は、2020年の世界経済の実質成長率がマイナス5%に落ち込む可能性があるとの見通しを示した。これは、同年1月に世界銀行が発表した「世界経済見通し」(実質成長率プラス2.5%)を大きく下回り、過去最悪であったリーマン・ショック後の2009年のマイナス0.9%をはるかに超える予想となった。加えて世界銀行は、新型コロナウイルスを背景とした経済の悪化により最大6,000万人が著しい貧困に陥るとの懸念を示し、支援の重要性を訴えた。


一方、2020年5月21日に財務省が発表した4月の貿易統計(速報)によると、日本からの輸出額は前年同月比21.9%減の5兆2,023億円 となり、リーマン・ショックの影響が続いていた2009年10月以来、10年6カ月ぶりの下落幅となった。なかでもアメリカへの輸出額は同37.8%減少し、2009年7月(39.5%減)以来の大幅な悪化となった。


このように世界の感染者数の拡大ピークが見えず世界経済の停滞が深刻化するなか、日本では入国制限が6月末まで延長されるなど、国際的な人とモノの動きが再開するにはまだ時間がかかりそうである。


しかし、こんな調査結果に目がとまる。東京都が都内の企業(従業員30人以上)を対象に実施した調査によると、「テレワークを導入」している企業は2020年3月時点で24.0%だったが、2020年4月時点では62.7%となり、短期間で2.6倍に増加している。もちろん感染予防策として推進されたテレワークだが、日本企業の対応力を改めて実感する数値である。


新型コロナウイルスによって見えてきたこと、感じたことがたくさんある。ポストコロナが私たちの「知恵」と「経験」でより良い社会になるよう、「新しい生活様式」を模索しながら貢献したい。

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