「コロナ太り」から考える健康被害

新型コロナウイルス感染症によって長く続いた在宅勤務をはじめとする外出自粛生活により、「コロナ太り」という言葉が拡がっている。


外出自粛生活によって運動量が減少しているだけでなく、運動不足にともない筋肉が落ち、徐々に太りやすい体質になっている。さらに、栄養の偏った食事や自宅での一人飲みによる深酒など、その要因も多様だ。体重が増えるだけで済めばよいが、新たな疾患も生じるかもしれない。


約2カ月に及んだ外出自粛生活は、健康にさまざまな影響をあたえるのに十分な状況下にあったといえる。


スポーツイベントの中止、フィットネスクラブの営業自粛などによる運動機会の減少。そもそも外出していないので、日光浴不足である。また、会社や自治体などの定期検診の延期や病院に行くことへの不安から予防接種を控えるなどの健康予防にかかる行事の機会も減っている。「コロナ太り」以外にも、本来であれば罹らなかった疾患や見つけられていた疾患の進行などの健康被害が、今後生じてくるかもしれない。


従業員が健康を害してしまうと、企業にも悪影響を与えてしまう。逆に、うまく従業員の健康についてケアできれば、企業にとっても大きなメリットとなろう。


帝国データバンクが公表した「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年4月)」でも、世界的な公衆衛生上の危機に対して、7割超の企業で事業の継続に「従業員の健康管理」が重要と回答していた。いまこそ、企業の「健康経営」について着目する絶好の機会と言える。


また、経済産業省が推進する「企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~」では、従業員の健康維保持・増進を行うことは、医療費の適正化や生産性の向上、さらには企業イメージの向上などにつながるとしている。従業員の健康を経営課題としてとらえ、取り組むことが企業のプラスとなるはずだ。


新型コロナウイルス感染症の拡大がきっかけで、他の疾患に罹ってしまったら本人や家族だけでなく、企業にも悪影響を与えてしまう。単に「コロナ太り」と片付けるのではなく、この異常事態に際して、改めて健康について考えることが自分や企業のためになると思う。

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